昨日の衝撃的なニュース、

言葉が出ませんでした。



いまだにうまく飲み込めず、

とにかく良い世の中になれ。

良い日本になれ。

そう強く祈ることしかできません。



ご本人はまさかあんな形で

命を終えるなんて

思いもしなかっただろうなぁ…。



飲み込めない思いのまま

投票日を迎えそうです。



これからどんな日本になっていくのか

守るべき大切な家族がいる、いち保護者として

しっかり見届けたいです。





さて、ここからは
先日読み終わった芥川賞候補作の
山下紘加さん「あくてえ」(文藝2022年夏号)
の感想文ブログを書かせてください。


「怒り」の特集号ということで、
この特集にふさわしい
怒りと「あくてえ」が詰まった物語でした。


物語の主人公は
90歳の祖母と中年の母と暮らす
小説家志望の19歳、「ゆめ」。


高齢の祖母は
甲州弁と独自の言語が入り混じった
「あくてえ(悪口、悪態)」をつくのが癖で
母やゆめに介助されないと生活ができないのに
わがまま放題に過ごしています。


物忘れや勘違いが多いのに
自分の非を認めず、都合が悪くなると
大きな声で「あくてえ」をつく祖母に
ゆめは苛立ちを抑えられません。


ゆめは苛立つ祖母のことを
ひそかに「ばばあ」と呼び
「ばばあ」と暮らす日々に
ゆめ自身も「あくてえ」をつくのですが


ゆめの母である「きいちゃん」は
献身的に「ばばあ」のお世話をし、
目や耳やあちこちが弱る祖母が
少しでも良くなるように
病院に奔走する日々を送っています。


ゆめが釈然としないのは
「ばばあ」は不倫で家を出ていった
ゆめの親父の母で
きいちゃんにとっては
縁が切れたはずの「義母」なのに
きいちゃんは「感謝しているから」と
かいがいしくお世話をしていることです。


「ばばあ」のお世話は楽ではなく
きいちゃんは自分の時間がほぼとれずに
「ばばあ」のお世話とパート、
病院のつきそいをしていて、


親父から生活費の振込があるものの
振込が途絶えることがあり
ゆめも派遣で働いて
生活費を入れることで
なんとか家が保てている状況で、


執筆時間がなかなかとれない上に、
ここ最近では
「ばばあ」が倒れることが何度かあり
それできいちゃんとの息抜き旅行が流れ、
ゆめの苛立ちはつのるばかり・・。


ゆめは恋人の渉に会って
気分転換しようとするけれど
自分の窮状を伝えることが億劫になり、
噛み合わない会話を続けてしまいます。


ままならない現実は
じりじりとゆめを追い詰め、
好き放題に暮らす「ばばあ」、
平然と「ばばあ」の世話を任せる親父、
何も言わないきいちゃん、
肝心なところで気の小ささが垣間見える渉、
家族のケアに疲れ、執筆時間がとれず
小説家デビューという夢に
進めそうにない現実のすべてが嫌になり、
苛立ちが爆発寸前まで膨れ上がるのです・・。


ゆめの苛立ちが痛いほど伝わり、
どうにもならない現実に
「あくてえ」をつかないと
やってられない!!という
怒りが物語全体に
響き渡っていた作品でした。


ゆめは19歳だけれど
「ばばあ」のケアをしたり
働いて家計を支えている描写から
「ヤングケアラー」にあたると思います。


ゆめは19歳の若さで
家族のケアをし、社会人として家計を支え
甲斐性のない親父がいる現実を理解し
健気に母を支えているにもかかわらず


その努力は報われずに
「ばばあ」の「あくてえ」に
なって返ってくる徒労感に
胸が痛くなりました・・。


ゆめの「小説家になりたい」という夢は
親父に真っ向から否定され
「ばばあ」も小馬鹿にし
きいちゃんは現実にかかりきりで
誰も相手にしていないけれど


ままならない現実にめげずに
「あくてえ」をつき、憤怒しながら
夢を見ようとするゆめの姿に


ゆめにとって「あくてえ」が、
怒りが心の支えに
なっていることを強く感じました。


自分が招いたことではないのに
先の見えないしんどい現実に
巻き込まれてしまったとき、
その現実に呑まれないために、
自分を保つために「あくてえ」が
必要なんだと心から思いました。


はたから聞いてて
気持ち良くはないし
限度というものがあるけれど


苦しみの最中にいる人の心中に触れ
「あくてえ」が必要な人がいる
ということを胸に留めたいと思いました。


しかし
自分として生きるには
「あくてえ」をつくしかない・・
という逃げ道のなさが本当に切なくて


きいちゃんのように
「お世話をする人として生きよう」と
決意できるほど「自分の人生」を
生きていないゆめには酷すぎる現実に
胸が張り裂けそうでした。


そしてゆめが放つ「あくてえ」は
誰にも響かないところがまた切なくて・・


どこにも拾われない
「あくてえ」を放ち
なんとか自分保って生きようとする
ゆめの健気さが強く胸に残りました。


ヤングケアラーの逃げ道のなさを
的確に描いた物語だと感じました。


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