逢坂冬馬さんの『同志少女よ、敵を撃て』、
数日前に読み終わっていたのですが
物語のショックが大きくて
しばらく言葉にできませんでした。
今のロシアウクライナ情勢と重なりますし
母になってからというもの
人の命を扱う物語を読むのが
さらに辛くなってしまい、
数日「ダメ」になっていました・・。
『同志少女よ、敵を撃て』は
先の大戦下、赤軍(ソ連軍)の
狙撃兵として集められた
少女たちの物語。
イリーナという優秀な女性狙撃兵に
半ば強引に連れて来られた
主人公のセラフィマは、
イリーナへの恨みと
ドイツ軍への復讐心に燃えて
猟師から狙撃兵として
戦争を生き抜くことを決意します。
イリーナによって集められたのは
10代、20代の少女で
激化する大戦のさなかに
故郷を焼かれ、家族を喪った
ものたちばかり。
彼女たちの心はセラフィマと同じく
故郷、家族を喪った悲しみと
敵への怒り、復讐心と
おのれの信念に燃え、
確実に敵を仕留めるための
鍛錬に明け暮れます。
戦前まで善良な女の子であった彼女たちは
過酷な鍛錬を経て
プロの狙撃手となり、
戦場へ送り出されます。
狙撃の技術だけでなく
精神的にも鍛え抜かれた彼女たちは
何人もの“戦果”を上げる一方で
おのれの精神に怪物のような残酷さを
認めないではいられません・・。
しかし迷えば死に直結する最前線。
敵と同じく何人もの味方を喪い
自分の死を間近に感じながら
自分を、味方を守るために
敵を撃ち続けるのです・・。
戦争というものが
いかに人の命を軽くさせる
愚かなものであるのか、
いかに人を「怪物」にさせてしまうのかを
目の当たりにさせられた物語でした。
「○○という都市で大規模な戦闘」
「○○人が犠牲に」という事実よりも
子どもが子どもらしさを失い、
女性は大切な髪を切り、
誰の顔からも笑顔が消えゆく様に
戦争のリアルを、むごさを感じ、
心の底からゾッとしました・・。
狙撃兵となった少女たちは
鍛錬の間、教官のイリーナから
「何のために敵を撃つのか」を
何度も問われます。
その問いに対して
「祖国を守るため・・」といった
表面的な動機は却下され、
自分の本心を追求した答えを求められ
復讐心が強かった彼女たちは
当惑しながらも自問自答を続けます。
自由を得るため
子どもを守るためなど
さまざまな答えが出るなか
セラフィマは「女性を守るため」と答えます。
先の大戦下で
女性が戦線に立って戦ったのは
ソ連軍だけ。
アメリカやドイツでは
女性は戦力とされず
ソ連軍は性差別のない軍隊と
されていましたが
男性兵士は女性兵士を「同志」と
みなさない空気をセラフィマは
ひしひしと感じます。
そして数々の戦闘のさなかで
味方の男性兵士たちが民間女性たちへ
性暴力をふるっていたという事実を知り
セラフィマはおぞましさに震えながら
本当の「敵」とは何かを
考えさせられるのです・・。
むごたらしい戦場のなかで
狙撃兵となった少女たちの友情、
彼女たちの葛藤、
イリーナの思惑、
幼馴染との再会、
戦争の残酷な現実が丹念に描き込まれ
そのひどさにただただ胸が痛み、
これ以上苦しみたくないと思いながらも
ページをめくる手が止まりませんでした。
時代が違えば
友達同士支え合うことが
できたはずなのに。
善良な市民のままで
いられたはずなのに。
喪ったものの大きさに
愕然としながら生き抜いた
彼女たちの姿に
胸が張り裂けそうになりました。
この物語はフィクションですが
ソ連兵に女性狙撃手がいたのは事実。
この物語でも取り上げられる
ノーベル賞作品
『戦争は女の顔をしていない』は
最前線で戦っていた女性兵士たちの
声を集めた歴史的大作ですが
同時に戦争におけるジェンダーの問題を
突きつけた作品でもあります。
『同志少女よ、敵を撃て』は
『戦争は女の顔をしていない』の声を頼りに
ストーリーが編み上げられているのですが
誰もが死に直面し
女性としての配慮などまるでなかった戦線で
勇猛果敢に敵を撃った女性たちがいたことを
同じ女性として忘れてはならないと
強く思わされました。
話は少しずれますが
3月8日の今日は
「国際女性デー」です。
暴力でものごとを決着させようとする世界、
戦争が起こる世界はもちろん、
性別を理由に差別されること、
女性を下に見る人や社会の存在を
断固として拒否します。
性別や人種で
分断しようとする思想、風潮こそ
本当の「敵」だと思っています。
同志少女たちの姿を思い浮かべながら
自分も「敵」に向かって
徹底的に戦う姿勢であろう、
戦うために学び続けようと
強く思いました。
自分の誇りを守るために。
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