引っ越しのドタバタにより

今回の芥川賞・直木賞はスルーしてしまいましたが

あらすじを読んで気になった候補作を取り寄せていました!

 

 

 

 

石田夏穂さんの『我が友、スミス』。

デビュー作にして芥川賞候補作になりました。



装丁からも滲み出ていますが

圧巻の「筋肉小説」でした。



主人公は20代会社員のU野。



黙々と仕事をするかたわら、

一年半前からジムに通い

黙々と身体を鍛え上げるのが

習慣となっていました。



ある日U野は

女性ボディビル界のカリスマとされるO島から

ボディビル大会へ出ないかとスカウトされます。



それまでトレーニングの

目標を決めていなかったU野は戸惑いますが、

カリスマのO島から勧められたこと、

O島のパーソナルジム料金が安くなることから

ボディビル大会へ出場を決意します。



それからU野は大会に向けて

本格的なトレーニングをはじめるのですが、

大会で審査されるのは筋肉の仕上がりだけでなく

動きのしなやかさやピアスなどの装飾品、

ハイヒールを履いた身のこなしなど

筋肉以外の「女性的な要素」も審査対象である

ことを知り、違和感がこみ上げてくるのです・・



筋トレは「自分との戦い」の代名詞と

言えると思うのですが、

そこに「女性としての戦い」が

加わってきたことへの違和感と、

周囲から「女性らしさ」を審査

されることへの反発、憤りと

でも勝負には勝ちたい・・という

闘争心が混ざり合っていく

U野の心情に共感し、そして

着実に身体(と表面上の「女性らしさ」も)を

仕上げていくU野の熱意に

引き込まれました。

 

 

異論は認めますが、わたしは

女性は女性であるというだけで

社会的な審査項目が多い

(気にしなきゃいけないことが多い)

と思います。

 

 

審査項目は主に外見で、

メイク、ファッション、髪型、言葉遣い、

仕事ぶりなんかも

「女性ならではのしなやかさ」

を求められているような気がしながら

社会人をやっていました。

(男性多数の職場だったからかもしれません)



20代のころは特に周りの目が気になって

これらの審査項目をすっ飛ばすほどの

「自分の武器になるものが欲しい」

とずっと思っていました。



周りの目を気にしない

鎧のような、砦のような

そんな自分の武器が欲しい。と。



物語のクライマックスで

「別の生き物になりたい。誰に傷つけられるでもなく、誰に同情されるでもない、超然とした生き物になりたい。」(133頁)

と渇望するU野と昔の自分が重なり

切実な思いにグッとくるものがありました。



U野も性別によらない

自分の武器を求めていたのだと思います。



結果はどうあれ

ボディビル大会を経て

自分の理想が定まったU野の姿は

清々しさとよろこびに満ちていて、

そして「こうありたい」という

純粋な思いに突き動かされて

黙々と鍛錬する姿に胸が熱くなりました。



個性とか特技とか

そういうのじゃなくて、

こうしたい、こうありたいという

純粋で強い思いこそが

自分のいちばんの武器じゃないかと

思い至ったからです。



ボディビルという

知らない世界の話でありながら

自分がよく知る内省の物語でもあり、

熱い空間と熱い思いに

引き込まれた作品でした。



読んでいて無性に

トレーニングしたくなりました。

読みながら背筋がキュっと伸びました。

あぁ、ランニングしたいなぁ、、



芥川賞受賞は逃しましたが

おすすめです!


 

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