素敵な、
ほんとうに素敵なエッセイを読みました。
作家の宮下奈都さんが
ふるさとの福井を離れて
北海道の真ん中らへんにあるトムラウシに
家族で山村留学をした一年を綴ったエッセイ。
わたし自身北海道の田舎町出身ですが
トムラウシはもっと田舎で、
近所のスーパーまで30キロ、
学校は中学校までしかなく
小中あわせて全校生徒は10人程度という
超過疎地域にあたります。
宮下さん一家は
夫婦と中学生の息子ふたり、
小学生の娘がひとりの5人家族。
夫さんが北海道移住を強く希望しており
高校受験を控える息子の進路など
不安なことがいろいろありながらも
家族みんなで移住することにしたのでした。
移住先のトムラウシは
山に囲まれていて
夏でも長袖がいるほど寒いところ。
厳しい自然がある一方で
トムラウシの人々は宮下一家を
あたたかく迎え入れ、
すったもんだがありながらも
移住生活を満喫する様子が
綴られています。
北海道に戻ってきた身としても
子を持つ親としても
身に沁みる箇所が多々あり、
北海道の自然の雄大さ、厳しさ
そして美しさを言葉を通して
実感させられました。
トムラウシの生活には
いわゆる「娯楽」が少なくて。
テレビは映らないし(山が邪魔して)
ネットは遅く、
買い物もまめに行けず
冬はほんとうに寒そうで
現代的な生活に慣れきっていると
不便で辛そうに見えるのですが
その不便さを楽しみ、そして
登山やスキー、バーベキュー、釣りなど
自然を「娯楽」にして楽しみつくす
宮下一家(特に子どもたち)の姿に
ハッとさせられました。
子どもたちは今いる環境を
ありのままに受け止めていて、
環境変化のストレスにもめげずに
自分なりの楽しみを見つけています。
それは宮下一家が
仲の良い家族であることはもちろん、
トムラウシの大人たちが
一人一人を見守っているからこそ
子どもたちは素直になれ、
自然に触れてのびのびと過ごすことが
できるのだろうと思いました。
家族以外に
見守ってくれる大人が
(しかも信頼できる大人が)
たくさんいる環境というのは
都会では難しいですよね。
都会のような便利さや
娯楽はないけれど
美しい自然が目の前にあり
信頼できる大人たちに見守られながら
のびのび過ごせる環境は
なんて贅沢なんだろうと
心から思いました。
そして悩みながらも移住を決め、
移住してからも仕事や生活、
子どものこと、自分の体調など
あれこれ悩みながらも
自然やトムラウシの人たちに
癒され、ほぐされていく
宮下さんの姿にも心動かされました。
エッセイでは
大自然の美しさや
子どもたちとのほのぼのとした日常が
綴られていますが、
「つらいときや驚いたときだけじゃなく、うれしいときにも心臓はどきどきする。」(102頁)
と書かれたところがあって、
この日常の背景には
どれだけの勇気と
エネルギーとストレスが
あったんだろう、と
思いながら読みました。
たとえ自分が望んだことでも
いざ行動するとなると
なんかいろんな不安が襲うし
変化のストレスはけっこうかかるし・・
ということを直近の自分自身も感じていたので
宮下さんの戸惑いがすごくよくわかりました。
けれど、
自分の戸惑いやストレス以上に
トムラウシの景色の美しさや
人々のあたたかさが増し増しで綴られていて、
「大変だったけど、ほんとうにきてよかった」
ということが伝わって胸がジーンとしました・・。
そして、子どもたちだけでなく
宮下さん自身も自分に素直になって
のびのびと過ごしているように感じました。
13年ぶりに北海道に戻ってきた今、
宮下さん一家のように
素直にのびのびと過ごしたいし
宮下さんの子どもたちのように
我が子がのびのびすくすく育てるような
環境を整えたいと思っています。
住んでるのは札幌で
大自然!な環境ではないですが。
地元にもたくさん帰って
自然に触れさせてあげたいな〜と
本書を読んでさらに思いました。
最後に
本書全体を通して思ったのが
自分の心に素直に生きることの尊さ。
トムラウシには高校がないから
家族みんなで行こうとなると
長男が中学3年生だった当時のタイミングが
ラストチャンスで、
家族みんなが貴重で濃厚な一年間を
噛み締めて過ごしています。
移住を終えてからも
トムラウシの人たちとの交流は続き、
家族みんなの心の中に
かけがえのない記憶として
残っていることが綴られていて、
なんて素敵なことだろう!と思うとともに
「今しかない!」という
チャンスはあるのだと痛感させられました。
宮下さん自身は
「チャンスは、きっとまた来る」
とおっしゃっていますが
わたし自身は
「あのときのチャンスはあのときしかなかった」
という気がするのです。
そう思うと
いろんな巡り合わせの中で
選んだチャンスがとても貴重に思えますし
今を大事にしよう、という気持ちが増します。
自分の心に素直に生きることも
このタイミング!今がチャンス!
というものがあるのではないかと
いう気がします。
「北海道で家族と暮らしたい」
と思った自分の心に素直になり行動した今、
無事に引越しができたありがたさと
タイミングの良さに感謝しつつ
掴んだチャンスを大切に過ごしていきたいと
改めて思いました。
大寒波真っ最中の北海道で
コロナも終息のきざしが見えず
気軽にお出かけできるご時世ではないですが
温かくて広くなった部屋で本が読める幸せを
噛み締めたいと思います。
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