こないだの眠れない夜に、この本を一気読みしました。
物語の中心人物は40代の夫婦。
同い年の妻ががんを患い、夫の目線から入院中の妻と夫の心情が語られます。
子どもには恵まれなかったけれど、15年間連れ添いつづけた夫婦の時間が終わろうとしていることを夫は実感し、でも希望を持って、妻のもとへ通い詰めます。
夫は「距離感」を意識して妻に接しています。
会話は普段通りに。
基本、妻からの申し出がなければ必要以上のケアはしない。
「病に勝つ」など「闘病」を意識した言葉がけを避ける。
仕事仲間や妻の母がお見舞いに来たときはそっと席をはずす。
妻の意思を尊重することやいままで通りの夫婦であろうとすることを心に留め、夫は気になることや思うことがあっても口に出さないようにします。
通い詰める日々のなかで、夫はいろんなことを思い巡らせます。
はじめて出会ったときに妻が着ていたのは菜の花柄のワンピースだったこと。
入院前まで働いていたサンドウィッチ屋の仕事が、妻にとってはほんとうに誇りある仕事であること。
緊急時には自分ではなく妻の母が泊まり込むことが少しショックだったことなど。
妻を尊重しながら現状を受け止め、ときには悩みながらもふたりでいられる時間を慈しみますが、とうとうその時がやってきてしまいます…。
身近な家族の死をまだ経験しておらず、さらに生後4ヶ月の子どもがいるわたしには、家族を看取る場面は非常にこたえるものがありました。
けれど、もう読みたくない、という感じにはならず、むしろ夫の思いの深さにさらに惹き込まれるように読み進めました。
夫は妻を見送る段になっても態度をくずさず、葬儀参列者の無遠慮な言葉がけにいらだちながら、ひとり妻との距離感を反芻しつづけます。
たった数日で遠い存在になってしまったことを実感しながら、しかしその遠い距離にひとすじの煌めきを感じ、その距離感も大切に慈しもうとするのです。
残された妻の時間を独占せず、妻の意思に沿うであろう見送り方をし、その後も妻との遠い距離感に嬉しささえ見いだしていく夫の愛情深さを思わずにはいられませんでした。
この物語を読んではじめて、家族との距離感を考えさせられました。
わたしと子どもとの距離感はほぼゼロに近く、深夜眠れなかったのも子どもの様子が気になって目が覚めてしまったからでした。
家族に託してちょっと家を出ただけでも気になるのに、子どもと遠く離れるなんて考えられず、読みながら涙が止まりませんでした。
夫とも付き合っていたときの遠距離恋愛が辛かったこともあり、距離感を考えようともしていませんでした。
かれらは家族でありながらひとりの個別の人間で。
それぞれが「ひとりの人間」であれる時間を確保したり、意思を尊重したりすることで「美しい距離」を見出していく努力が必要なのではないかと考えさせられました。
わたしはこの「美しい距離」という言葉を、「自分自身と自分の大切なものを見失わない感覚」だと解釈しました。
そう思うと、わたしは少し子どもと離れる時間を作った方が良さそうかも…。
それが「美しい距離」を感じるために大切だと思わせられました。
家族を看取ることの辛さ、悲しさ、現実の煩雑さを感じながら、思いもしなかった「美しい距離」にハッとさせられた、味わい深い物語でした。
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