こんにちは!
先日『クララとお日さま』読書会を開催しました^ ^
こないだ更新した読書感想文↑にも書きましたが
『クララとお日さま』はすごく複雑な物語で、
感想を語り合っていたらいつのまにか2時間経っていました!!
※あらすじ等は割愛するのでぜひ読書感想文ブログをご一読ください^ ^
※このブログはネタバレを含みますので未読の方はご注意ください!
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読書会では
・物語の世界観や設定の分析
(AFって何?向上処置って?ジョジーのお父さんは何があったの?など)
・なぜ「母親の苦悩」がクローズアップされているのか?
・AIをモノ扱いする人間の冷酷さ
・ブレずに使命をまっとうするAI(クララ)と、余計なことを考え悩み続けてしまう人間の対比
・人間の苦悩がクララ視点で描かれることの意図
について語り合ったのですが、
いちばんの議論となったのは
「あなたは自分の子どもに“向上処置”を受けさせますか?」
ということでした。
「向上処置」については作中であまり語られておらず、
・向上処置は遺伝子操作のこと
・処置を受けることで大学に進学できる
(未処置の子は2%しか入れない)
・未処置の子(リック)は周囲から奇異な目で見られている
(処置を受ける子が多数?)
ということしか語られていません。
処置を受けることでどのように「向上」するのか、どんな遺伝子操作が行われるのかはわからないのです。
読書会では「向上処置」ってなんなんだろう?という疑問から、物語の「見えない設定」を以下のように考察しました。
・向上処置を受けるかどうか子どもに決定権はない?
・処置は子どもが産まれる前(妊娠中?)に行うもの?
→ゆえに「母親」の苦悩が強い?
・ジョジーの病気は「向上処置」の副作用?
ポイントは「処置」を受けても受けなくても母親が苦悩している、ということです。
ジョジーの母・クリシーとリックの母・ヘレンがこんなやりとりをする場面があります。
「あなた後悔してる、ヘレン?」と母親が唐突に尋ねました。「言っていることがわかるでしょ? リックに受けさせなかったこと」(中略)
「そうね。正直に言えばね、クリシー、わたしは後悔してる。あなたのところで起こったことを見たあとでさえね。なんだか……なんだか、リックのために最善を尽くさなかったような気がするの。徹底的に考えることすらしなかった気がする。あなたとポールがやったようにはね。わたしは心を留守にして、その瞬間の過ぎるのを待っていた。ほかの何より、たぶんそのことをいちばん悔やんでいると思う。どちらかを決断するほどリックを愛していなかったんじゃないかって」
「そんなことない」母親がヘレンさんの上腕にそっと手を置きました。「そんなことない。難しいのよ。わたしにもわかる」
(340頁)
この場面で「決断」「難しい」という言葉が出ていることから、向上処置は「決断」しなければならないほどリスクのあるもので、受けた人の何人かは亡くなってしまうような副作用があるのではないか?と考察しました。
向上処置は社会的に受け入れられているもので、処置を受けないと将来的に不利になるにもかかわらず、リスクがあるような「難しさ」が示唆されているんですよね。
ここまで考察した上で、冒頭の「自分の子どもに向上処置を受けさせるか?」という問いに立ち返ると
この問いが非常に悩ましいものに思えます。。。
メンバー内でも賛否が分かれましたが、わたしは悩んだ末に受けさせるだろうな、と思いました。
遺伝子操作に抵抗を覚えるのはもちろんなのですが、わたしは処置のリスクよりも「未処置のために社会的なチャンスを奪われる」というデメリットが大きいと感じたのです。
それはわたし自身が田舎出身というルーツが大きく影響しています。
田舎はとってものどかでのんびり暮らせる良いところでしたが、上京したことで人生の選択肢がとても広がったと感じました。
都会と田舎の両方に良し悪しはありますが、どちらも知ったわたしとしては子どもに「選択肢」と「選択の自由」を与えたいと強く思ったのです。
同じ母親として「最善を尽くさなかった」んじゃないかと苦悩するヘレンさんの姿に胸が痛みました。。
けれど向上処置を受けたクリシーさんも同じく悩んでいるんですよね・・
なにが正解なのかはわからないし、その時その時で悩みながら「最善」だと思うことに突き進むしかないのだ、という子育ての現実を突きつけられたように感じました。
結果としてリックもジョジーもすくすく育ち、ふたりの思う人生を歩んでいくので、「親の悩みなんて関係なく子どもは育つ」ということも示唆されているのかもしれません。
ふたりの母親の苦悩に改めて共感した読書会になりました。
親の悩みは尽きませんなぁ〜。。。
AIロボットのピュアな心模様を描きながら、裏ではこんなやらしい問題を突きつけてくるなんて!とちょっと憤慨しましたが、笑
母親になりたてのタイミングで読めてよかったです!
ほかにも議論のポイントがたくさんあり、読書会のしがいがある名作でした。
ものごとがわかりやすく説明されていることが是とされる世の中ですが、「わからないことを書く」「説明しない」「想像させる」ことが小説の美学なのかもしれません。
そんなことを思いながらこの作品を味わい尽くしました!
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