こんばんは!
育児に追われていたらあっというまに芥川賞・直木賞発表日が2日後に・・・!
今回は史上初!「発表前に候補作の単行本がすべて発売されている」のだそうです^^
候補作になった時点で話題になるのだから毎回こうしてほしい!と希少な文芸誌を必死に買い求めていたわたしは強く思いました。笑
大人の都合でそううまくはいかないのかもしれませんが、年に2回の「祭り」なのだから出版関係の人たちにはがんばってほしいな〜と思います・・!
ということで今回はこないだ発売されたくどうれいん『氷柱の声』(講談社)を読みました!
東日本大震災から10年、長い月日をかけて当時の経験や感情と向き合う主人公・伊智花の祈りの物語です。
わたしは作中で語られる感情にすごく心当たりがありました。
「申し訳ない、というきもちです。わたしはすこしライフラインが止まったくらいで、たくさんのものを失った人に対して、絆なんて、がんばろうなんて、言えないです」(17頁)
「こういうときに、わたしたちは何をすることもできないね」(34頁)
「なにも失っていないのにどうしてこんなにも落ち込むのか、自分でもよくわからないんだよね。あ、また落ち込んだな、って考えてはまた落ち込んでさ」(55頁)
東日本大震災があった日、わたしは東京都内で就職活動中でした。
試験は中止になり帰宅させられましたが電車が動かず、歩いて大学に避難し一夜を明かしました。
翌日から電車は動いて自宅に無事に戻ることができ、家族の無事も確認できましたが、しばらく続いた余震と停電、原発事故のニュースにおびえ、就活がストップしてしまった不安と焦りに追い込まれてしばらく寝込みました。
けれど、被災地の痛ましい光景を目にして、わたしの心労なんてほんとうにたいしたものではないじゃないか、と心から思いました。
引用した箇所はどれもわたしが当時思ったことでした。
この物語では盛岡出身の主人公・伊智花が「なにも失っていない」立場のために震災をきっかけに抱いた気持ちをこじらせ、葛藤する様が描かれています。
伊智花は当時高校生で、絵画コンクールに入賞するための作品作りに精を尽くしていました。
自分が納得できる作品を出そうと息巻いていたなかで震災が起こり、無事に作品は完成したものの作品の「評価軸」が変わってしまったことに伊智花は悔しさをあらわにします。
「それなのに、私は、それでも。ああ。やっぱ絵じゃないんだ。と思った。審査されているのは純粋にこの作品ではなく、「この作品を描いた高校生」なのではないか。作品と作者の不遇を紐づけてその感動を評価に加点するならば「特別震災復興賞」という賞でも新設すればよかったのに、とすら思った。」(21頁)
あらゆるものに震災へのメッセージが込められてしまうこと。
それは違うのでは。
もっと大変な人がいるのだから、たいしたことのなかった自分は我慢すべきだ。
いや、程度の差はあれみんな辛いのだから我慢しなくても良いのではないか。
絵画コンクールの場面からは伊智花が抱く悔しさと違和感、そして罪悪感がないまぜになった思いを読み取れます。
そしてその思いは10年前にも自分が感じたもので、この物語を読みながらわたしも自分にとっての震災を振り返っている、という気持ちにさせられました。
この物語では、震災を経験した若者の率直な思いが語られています。
「何も失わなかった自分はせめて傷ついた人を救う職につきたい」と医師を目指そうとしたけれど、他人の期待に応えることに嫌気がさして大学を辞めてしまった友人のトーミ。
蝋燭の火を見ると震災当時を思い出して気が沈んでしまう恋人の中鵜。
震災で家と家族を亡くし、努力の末に感動物語として消費される人生を受け入れる広告マンの松田。
彼らの率直で正直な声を聞きながら、伊智花は自分の震災への思いに向き合いはじめるのです。
わたしはこの物語を誠実な祈りの物語だと読みました。
東日本大震災という痛ましい災害は、大勢の人々の口をつぐませた災害だったと思います。
なにもかも失ってしまった人がいるなかで、どのような声をかけて良いかわからない。
なにも失っていないのだから震災を語る資格はない。
当時、そんな目に見えない圧を強く感じながら過ごしていたことを、この物語を読んで思い出しました。
けれどどんな人であれ震災を経験した人の声は「声」であり、そこで感じた思いを否定したりなかったことにしようとするのは違う。
10年たってやっと表に出せる感情もある。
この物語には上記のような思いが込められているように感じました。
そして、震災を経験したすべての「声」を肯定し、彼らが震災を「ほんとうに受け入れられる」ようになりますように、という祈りが込められているようにも感じました。
雪解けして水がしたたる氷柱(つらら)は、太くても細くてもみな同じように解けていきます。
わたしたちが見逃してしまいがちな氷柱の様子が丁寧に描かれた作品だと感じましたし、口をつぐんでいたわたし自身、自分の心の氷柱が解けてスッキリした気分になりました。
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