こんばんは!
 
 
私事ですが、昨日で31歳になりました〜
30歳の一年はあっという間でした。
30代のはじまりはコロナ禍まっただなかでしたが、これまでの働き方や暮らし方を見直したり、妊活をはじめたり、コーチング業を始めてお客様に喜んでいただいたりとたくさんの良い変化に恵まれて過ごすことができました。
 
 
31歳の一年は昨年以上に慌しくなる予定なので、消耗しすぎずに工夫して乗り切りたい!と思っています。
 
 
今週は文芸誌ウイーク!
文學界4月号の三木三奈「実る春」を読みました。
 
 
春のきざしが見えてきた東京を舞台に、二人の女性の視点で織りなされる日常の物語です。
 
 
春、という季節。
ちいさい頃は自分の誕生日があるから好きな季節だったのですが、就職してからは憂鬱になることが多い季節でした。
 
 
花粉症を発症して辛かったり、決算期で何かと忙しかったり、着実に歳を重ねる割にはいつまでも精神的に落ち着かない自分にもどかしさを感じたりしていたからです。
 
 
出会いと別れの季節でもあり、春は他の季節に比べて外的な変化が多く、自分の心に思った以上に大きな影響を及ぼしていたのかもしれません。


「実る春」を読みながらそんなことを思いました。
 
 
この物語の中心人物のひとり、脇実春(わきみはる)は建設会社のちいさな営業所に勤める25歳の社会人。


実春は思考がすぐに自分の価値観や過去の思い出に向くタイプで、相手の話を聞いているようで自分のことばかり考えてしまい、また愚痴っぽい割には自分に甘く、きょうだいや同僚からからかわれるような人物として描かれています。
 
 
さらに実春はお酒が入ると自分の心情を素直に吐き出す上に記憶をなくしてしまうことから、同僚みんなが実春の心の中を知っているのに実春自身はそれを知らない、というちょっとかわいそうな状況にも置かれていたのでした。
 
 
そんな実春のもとにやってきたのは、春のきざしと失恋と弟からの連絡でした。


まわりが続々と結婚し、結婚へのあこがれが高まっていたころにやってきた取引先の若い男性に淡い恋心を抱いていた実春は、あっけなくその男が結婚したことを知らされます。
 
 
酒の席で男への恋心を明かしたことなどすっかり記憶にない実春は、なんでもない風をよそおってその場をごまかしますが、同僚たちは実春の恋心を知っており、彼らのいたずら心と無遠慮さが相まって実春に悲劇がおとずれたのでした。


そしてその日の帰り道に、滅多に連絡を取らない弟から突然電話がかかってくるのです。
 
 
もうひとりの中心人物は、22歳の女子大生・津崎茜。


茜は新宿駅でお金を貸したまま音信不通になった元彼・脇春比古を偶然見つけ、彼を問い詰めます。


しかし春比古はヘラヘラとそれをごまかし、その場を逃げ切ります。
その場で彼の住所を聞いた茜は、日を改めて彼の苦手な犬を連れてお金を取り立てに行くのです……。
 
 
この物語は実春と茜の二人の視点が交互に入れ替わりながら、奇跡的に物語が進んでいきます。


「奇跡的」とあえて書いたのは、登場人物それぞれが自分のことしか考えていないのに、場面ごとに奇跡的に歯車が噛み合い、物語が進んでいくからです。
 
 
とはいえ、「それぞれ自分のことしか考えていない」というのは人間としてあたりまえのことです。


自分中心にものごとを考えながらも、社会で生きるためにある程度の「他者目線」を持って、自分と距離を置いてバランスをとっているのが社会人なわけで、実春はそのバランスの取り方が下手なために職場でからかわれる存在になっています。


実春のバランスのおかしさが他の登場人物たちの様々な思惑と絡み合い、さらにおかしな方向へ「奇跡的に」物語が展開していくのです。
 
 
そして、物語後半では中心人物である実春と茜が奇跡的に“交差”します。


ですが実際に顔を合わせるわけではなく、ふたりの物語には接点があり、一度だけ物語が交差するのです。


ですがどちらも自分のことしか考えておらず(もちろん、他の登場人物たちも)、交差したことに気がつかないまま物語は幕を閉じます。
 
 
この交差の場面に、大学時代に読んだ山川方夫「他人の夏」を思い出しました。


「他人の夏」は田舎の少年が都会の女性と出会い、意図せず女性に影響を与えるけれど、少年は女性の変化の理由が最後までわからなかった、というような物語です。
 
 
「実る春」も「他人の夏」も共通するのは意図せず誰かに影響を与えているという点です。


わたしたちは誰かと一緒に生きている以上、誰かしらに意図せず影響を与えていて、そしてそれに気がつかない。
それってすごく奇跡的でおもしろいことだということを、「実る春」を読んでしみじみと感じました。
 
 
「実る春」は「意図しない影響」が奇跡的に重なり合うことで誕生したストーリーのおかしさを絶妙に引き出した傑作だと思いました。
 
 
春は環境も人間関係も揺らぎやすいからこそ、「実る春」のような奇跡も起こりやすいのかもしれません。


春の「おもしろさ」を感じられて、これまで憂鬱だと思っていた春がまた好きになれそうだと思いました。
良いタイミングで読めた作品でした。

 
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