こんばんは!
『マネジメント』きっかけで組織について書かれている本が気になりこんな本を手にとってみました!
戸部良一ほか5名の共著による『失敗の本質 日本軍の組織論的研究』(中公文庫)は、先の大戦での敗戦を日本軍の「組織論」的にふりかえり、日本軍の問題点と教訓を洗い出した一冊です。
防衛大学の戦史研究者と明治学院大学の組織論研究者が集まり、3章に分けて先の大戦についての細かな分析と考察がなされています。
1章では先の大戦での「失敗例」の詳細と分析、2章では「失敗例」に共通する組織的要因、3章では失敗への教訓と課題がまとめられており、「失敗例」としてはノモンハン事件、ミッドウェー作戦、ガダルカナル作戦、インパール作戦、レイテ海戦、沖縄戦の6つをとりあげています。
各戦の「敗因」は以下の通り。
ノモンハン事件…作戦目的があいまいであり、中央と現地とのコミュニケーションが有効に機能しなかった。情報に関しても、その受容や解釈に独善性が見られ、戦闘では過度に精神主義が誇張された。(37頁)
ミッドウェー作戦…作戦目的の二重性や部隊編成の複雑性などの要因のほか日本軍の失敗の重大なポイントとなったのは、不測の事態が発生したとき、それに瞬時に有効かつ適切に反応できたか否か、であった。(70頁)
ガダルカナル作戦…失敗の原因は、情報の貧困と戦力の逐次投入、それに米軍の水陸両用作戦に有効に対処しえなかったからである。日本の陸軍と海軍はバラバラの状態で戦った。(107頁)
インパール作戦…しなくてもよかった作戦。戦略的合理性を欠いたこの作戦がなぜ実施されるに至ったのか。作戦計画の決定過程に焦点をあて、人間関係を過度に重視する情緒主義や強烈な個人の突出を許容するシステムを明らかにする。(141頁)
レイテ海戦…“日本的”精緻をこらしたきわめて独創的な作戦計画のもとに実施されたが、参加部隊(艦隊)が、その任務を十分把握しないまま作戦に突入し、統一指揮不在のもとに作戦は失敗に帰した。レイテの敗戦は、いわば自己認識の失敗であった。(178頁)
沖縄戦…相変わらず作戦目的はあいまいで、米軍の本土上陸を引き延ばすための戦略持久か航空決戦かの間を揺れ動いた。とくに注目されるのは、大本営と沖縄の現地軍にみられた認識のズレや意思の不統一であった。(222頁)
上記の引用からわかる通り、まず第一の敗因としては「組織の目的があいまい」だったことが挙げられます。
もちろん「戦争に勝つ!」という目的が大前提ではありますが、各作戦において「空母を撃破する」「物資の供給路を断つ」などの具体的な目的がなかった、もしくは統一されていなかったのです。
だから実戦では「攻撃開始!」かと思ったら「やっぱり中止!!」といったドタバタがあったり、一部の部隊だけ違う動きをとったりするなど統制がとれず、その隙を突かれて反撃されてしまったのです。
2つ目の敗因は「空気を読む文化や精神論に固執した」こと。日本人らしいですねぇ。笑
「気合と根性で乗り切るんじゃー!!」という精神論でこれまで勝ち戦を続けてきた日本軍にとって、精神論に逆らうのは言語道断!という空気が流れていたんですね。
そのため上への忖度が働いたり、「この作戦ってどうなの・・?」と思ったとしても上に言えない空気が蔓延。
作戦に対する現実的な議論がなされないまま実行され、散々な結果になってしまったのです・・。
(その一方で米軍は結果にフォーカスした組織づくりと作戦計画を徹底し、失敗があってもすぐにフィードバックし改善していたのです・・)
そして3つ目の敗因は「成功体験にとらわれすぎていた」こと。調子に乗ってたってことですかね〜。汗
2つ目の敗因でも挙げたように、日清戦争、日露戦争で大勝していた日本は「これが我々の勝ちパターンだ!これを極めれば負けない!!」という戦術に固執し、時代の変化に順応できていなかったのです。
かたや米軍は新たな兵器を導入したり、日本軍の暗号解読に注力したりとあの手この手を使って「いかにして戦争に勝つか?」ということを徹底的に考え、試行錯誤を繰り返していたのです。
戦い方からして結果が見えていますよね・・。
実際に、大量の銃弾を降らせる米軍に対して日本軍は銃剣で突破せよ!というような「鉄の壁に卵を打ち付ける」ような戦い方をしていたのだそうです。。
そして、2つ目、3つ目に共通する4つ目の敗因が「戦術の強さだけを重視した」ことです。
日本軍がこれまで勝ち戦を続けてこられたのは、兵士たちの個人レベルがのきなみ高かったことと、めちゃくちゃ性能の良い兵器を作ることができたことでした。
これはこれで素晴らしいことなのですが、戦略がまとまっていなければ「才能の無駄遣い」なわけで・・
日本軍はせっかく個人スキルが高いのに、目的があいまいなばかりにエネルギーが分散してしまってとてももったいない状況にあったのです。
ここでも米軍は対照的で、性能は普通だけど新人兵士でも乗れる飛行機を作って人的資源を容易に確保できるようにしたり(日本は訓練されたパイロットにしか乗りこなせなかった)、空母を守る小艦隊をいくつも作ってカバーできる体制をととのえたりして長期で戦い抜けるようにしっかり備えていたのです。
まだまだ細かい失敗ポイントはあるのですが、わたしが特に刺さったのが以上の4つです。
本書は「失敗」をとりあげているため日本軍の楽観的思考と詰めの甘さが際立って書かれていて、同じ日本人として情けないやら胸が痛むやらでいろんな感情が湧きました・・。
そして恐ろしいのが、本書のような日本軍的な組織は現代にもまだまだ残っているのではないか?と思わせる「親近感」を覚えてしまったことです。
「忖度」「空気を読む」「上司に率直にものを言えない」「年功序列」「成功体験にとらわれる」
社会人として9年ほど生きてきて、上記のことを感じたことが全くなかった!とはいえず、むしろ職場の空気にモヤモヤすることのほうがとても多かったです。
先の大戦から75年以上が経つというのに、令和だというのに!
もちろん、古い体質から変わった・変わろうとしている企業もたくさんあると思うので一概には言えませんが、まだまだ「昔話」とはいえないことに危機感を強く感じました。
ですが本書を読んだことで「ダメな組織」の要因がわかったので、所属する組織の空気に呑まれないように自分なりに問題意識を持って立ち回ることができそうだと思いました。
そして『マネジメント』を読んでいたからこそ「目的」「戦略」の重要性がより染みました・・。
目的が定まっているか?
目的に沿った戦略になっているか?
目的と戦略がチームメンバーにしっかりと共有されているか?
このどれもおろそかにできず、欠けてしまえば「成果」はあげられないのだということを肝に銘じたいと思いました。
日本企業におつとめの方なら読んで損はない一冊です!
マネジメントの復習にもなります!
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