『独立記念日』というタイトルに惹かれて手に取りました。
この作品も前回読んだ『ハグとナガラ』と同じく、原田マハさんの「美術じゃない小説」になります。
『独立記念日』は「女性の独立」をテーマにした、24編の連作短編集。
ひとつひとつは2〜3分程度で読めるショートストーリーなので、読書にまとまった時間が取れなくてもさらりと読むことができます。
「独立」というとすごく仰々しい感じがしますが、『独立記念日』には実家から出て一人暮らしをしたり、執着していたものを手放したり、勇気を出してしがらみから自由になったりと、わたしたちにも心当たりのある身近な「独立」の様子が描かれています。
24人の女性たちは、年齢も職業も置かれている立場もみんなバラバラですが、ひとつだけ共通していることがあります。
それは「独立」に向かってたくさんの回り道をしているところ。
工業地帯に住む少女は、川の向こうにある高級住宅街に憧れ思い切って川の向こうへ「独立」を決意するも生活は思うようにいかず(「川向こうの駅まで」)、
同人作家の女性は大手商業誌のデビューを目指して漫画を描き続けているけれども挫けそうになり(「バーバーみらい」)、
夫の転勤についてきた妻はしばしば乱暴になる3歳の娘に手を焼き、頼れる人もおらず追い詰められてしまい(「魔法使いの涙」)、
未婚の母として娘を育ててきた女性は、仕事や育児に行き詰まった上に大切に飼っていたペットの小鳥を逃がしてしまいます(「独立記念日」)。
彼女たちが悩み苦しんでいる様子は、自分にも心当たりの大いにあるものだったりこれから悩むかもしれないことであったりして、読みながら彼女たちひとりひとりに共感しながら読み進めました。
この作品は各編の登場人物同士のささやかなつながりがあり、バトンリレーのようにそれぞれの物語が語られていきます。
各編それぞれにささやかなつながりがあるということが、誰にでも悩み苦しみがあること、そしてその悩み苦しみから「独立」できること、そして「独立」のためにはささやかであっても人とのつながりがとても大切なことを暗示していると感じました。
悩み苦しんでいる彼女たちは、はじめはみんな、ひとりで抱え込もうとしてしまいます。
ですが「独立」とはひとりで抱え、背負い込むことではありません。
人とのつながりを大切にして、ときには勇気を出して人に頼ることで、自分が追い詰められている状況から一歩踏み出すことが「独立」と言うのだ、と改めて考えさせられました。
なにかに悩んで「どうにもできない」と思いつめてしまっている人や、自分には何もないと心が折れかかってしまっている人に、そっと差し出したい一冊だと思いました。
ショートストーリーなので、心に余裕がなくてもなんとか読めそうな文章量です。
いま、なにか悩んでいることがある人には、「独立」へのきっかけになる一冊になるかもしれません。
人生のままならなさに寄り添い、温かいスープのような癒しの言葉を紡ぐ原田マハさんに酔いしれた週末でした。
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