こんばんは〜
芥川賞候補作、4作目です!
 
 
高山羽根子「首里の馬」(「新潮」2020年3月号)
 
 
前回前々回読んだ作品とはまったく趣の違う
「誠実さ」をひしひしと感じた物語でした。
 
 
とはいえ、この物語は
かなり怪しい雰囲気のただよう物語で。笑
 
 
なぜ怪しいかというと、
物語で描かれる場所や、登場人物の仕事
登場人物の身に起こる出来事に「よくわからない」「得体の知れない」要素が
含まれているからです。
 
 
この物語の舞台は沖縄。
とある「資料館」で資料整理の手伝いをしながら、
日々を淡々と過ごす主人公・未名子の日常が描かれています。
 
 
「資料館」とは、民俗学者として活動していた
順(より)さんが、終の住処に沖縄を選ぶと同時に
沖縄の資料を私的に集め、資料館化させたものでした。
 
 
その資料館は公的なものとはかけ離れた存在で、
周囲からは「魔女の館」のような、うす気味悪いものとしてみなされていたのでした。
 
 
未名子は小さいころからこの資料館を気に入り、
成長するにつれ手伝いをはじめるようになります。
 
 
資料整理はもちろん無給のため、未名子は生活費を稼ぐために別の仕事をしています。
 
 
その仕事というのが、雑居ビルの3階でひとりPCに向き合い、遠くにいる知らない人たちに向けて一対一の「クイズ」を出題するというなんとも怪しげなもの。
 
 
遠くにいる人たちがどんな人たちなのかは物語を読むごとに明らかになるのですが、
彼らは宇宙、深海、戦場とそれぞれ特殊な環境にひとり身を置いているのです。
 
 
そんな彼らとどうしてつながっているのか、この仕事がどういうビジネスなのかははっきりと明かされません。
 
 
この仕事に就くことになったのは数々の偶然によるものでしたが、未名子はこの仕事の「よくわからなさ」を受け止め、誠実にひとりひとりと向き合い、クイズを出し続けるのでした。
 
 
この物語では、「得体の知れなさ」「よくわからなさ」を日常に持ち込んでいる未名子の身に
さらに珍妙なできごとが起こります。
 
 
沖縄特有のひどい台風の合間に、未名子の家の庭先に一頭の馬が迷い込んできたのです。
 
 
未名子は持ち前の受け止め力(?)をもって雨風をしのげるように世話をし、台風が止んだのちに馬を駐在所に連れて行くのですが、
馬との出会いから未名子の環境や心境は少しずつ変化していきます。
 
 
「資料館」がなくなることが決まり、
未名子は仕事をやめ、「遠く知らない人」たちにあるメッセージを送り、
「資料館」の後を追うように順さんが亡くなります。
 
 
家と職場と資料館の往復の日々だった未名子にとっては大きな変化が立て続けに起こりますが、
未名子はそれらを受け止め、自分のこれからについて思いを馳せるのです。
 
 
未名子は「資料館」のあらゆる情報が記録され、保管されていることの尊さを守り続けたい、と思うのでした。
 
 
公的なものではない、だれかの役に立つことなど一生ないかもしれないたくさんの情報は、
でも、いつかずっと先の未来で、進化のために必要になるかもしれない。
 
 
それを、戦争のために「途切れた物語」の多い沖縄でやることに
未名子は意義深さを感じ、自分も順さんのように「保管」し続けることを誓うのです・・。
 
 
この物語は、全体をとおして「よくわからなさ」に満ちていて、
その「よくわからなさ」が著者の得意とするところなのかもしれないと思いました。
 
 
第160回芥川賞候補作「居た場所」

にも、やはり「得体の知れなさ」「よくわからなさ」に溢れていますしね。

 
 

ただ、この物語は

「よくわからなさ」を受け止める誠実さがよりあらわれていたように感じました。

 

 

戦争により、過去の歴史や物語が「よくわからなくなってしまった」沖縄を舞台にしているからこそ、

情報の「良し悪し」をジャッジせずに

誠実に受け止めることの尊さがより際立ったように感じます。

 

 

馬の存在が最後まで珍妙な感じなのも、シュールなおかしさがあってよかったです。

 

 

「よくわからない」「得体の知れない」ものを

「うす気味悪い」「こわい」と拒絶するのではなく

そのままを受け止めることって

防御本能がはたらくので、なかなか難しいことだと思います。

 

 

けれど、未名子は誰にでも開かれた情報が好きで、

それが保管されている空間が心から好きなのだと思います。

 

 

好きだからこそ誠実に向き合いたいと思うもの。

たとえ役に立たなくても、情報に触れ、保管し続けることが未名子の心の拠り所になっているのだろうなと勝手に思いました。

 
 
ということで芥川賞候補作、手に入れられた4作品はすべて読みました!
 
 
唯一手に入れられなかった岡本学さんの「アウア・エイジ」は
7月末頃に単行本化するそうで、受賞作発表(7月15日)
には間に合わないことがわかりました・・(;_;)
 
 
すべて読めていないのはかなり悔やまれますが
受賞作予想はまた日が近くなりましたらブログを更新します!

 

 
▼楽天はこちら
▼Amazonはこちら
 

⇧7月30日頃発売予定だそうですー!!

 

★コーチングサービスをやっています!

仕事や人間関係の悩み、将来の漠然とした不安が解決できるきっかけになるかもしれません!

詳細は画像をクリック↓

 

 

 

★メールマガジンもやってます!

ブログに書かないライフハックネタ、これだけは絶対おすすめしたい本などをご紹介しています!

ご登録特典にオンライン選書サービス1回無料チケットを配信しています^ ^

詳細はこちらから↓

 

 

 

 

★個人選書サービスも受付中!

文庫本一冊から

あなたにぴったりな本をおすすめします😊

詳細はこちらから↓