こんばんは~!





第163回芥川賞・直木賞の候補作が
6月16日(火)に発表になるみたいですね!たのしみ^^


文学に「トレンド」というものはありませんが、
こういう文学賞がトレンドみたいなものかなぁ~などと思ったりしています。


はぁ~今回も当てたいなぁ!(下心まるだし笑)
年に2回のお祭り騒ぎ、精一杯楽しみたいと思います。




さて今回読み終わった一冊は
礒﨑憲一郎さんの『終の住処』。


本作は2009年上半期発表の
第141回芥川賞受賞作です。
表題作のほかに「ペナント」という短編の2編が入っています。


芥川賞受賞予想をしているので
ふと、過去の受賞作品が読みたくなるんですよね。


「終の住処」というタイトルから
家を探す物語なのか・・?とあらすじを想像していましたが
予想とは全然違う、仕事に、夫婦関係に、思うままに行かない人生に追い詰められる男の物語で、
いま話題の芸能スキャンダルを思い出してしまうのでした・・笑。


男は製薬会社に勤めるサラリーマンで、長い間交際していた女性と別れ、恋愛に疲れ果てたさきに出会った妻と結婚。


出会い方が出会い方なだけに、結婚生活はお互いに「諦め」の漂うもので、そのことに男が向き合わないからなのか、妻は始終不機嫌な様子で接してくるのでした。


不穏な空気の漂う家庭は重苦しく、そこまで好きな相手でなかったのだからと離婚を考えるものの、結婚したことで男の仕事は徐々に認められるようになり、昇進のきざしも見えてしまい、離婚を切り出せずにいました。


とはいえ重苦しい空気は変わらず、やがて男はほかの女に手を出すようになります。
(ここは明確な理由が語られないまま、「そうなってしまった」結果ばかりが淡々と描かれます)
ほかの女に手を出したところで本気になるわけでもなく、さらに心の負荷がかかるだけでした。


このままではいけないと男は決心し、妻に離婚を切り出そうとするのですが、妻から「妊娠した」と言われ、さらに「逃げ道」を失ってしまいます。


娘が産まれ、男は娘を心からかわいがり、心を新たに過ごそうと思いますが、ある日を境に妻が男に対して一切口を利かなくなります。


男は困惑し、さらに息苦しさを抱えますが、愛しい娘を前にどうすることもできず、11年の月日が経ってしまうのです・・。


あらすじを読んで、勝手に芸能スキャンダルと重ね合わせてしまいました・・スキャンダルが実際どうなのか知りませんけど。
読んだのはたまたまなんですけど、うーん、複雑な心境です。


この物語で特徴的なのは、男が誰とも「つながらない」ところです。
夫婦関係にしろ、不倫相手との関係にしろ。
仕事ではそれなりに昇進してゆくものの、どこか「孤立」しているような調子で男の人生は語られてゆくのです。


年を重ねれば重ねるほどに「夫」「父」「製薬会社の社員」という立場が重くのしかかり、男をじりじりと追い詰めていきます。


11年ぶりに妻と口を利いたきっかけは「家を建てる」と男が宣言したことによりますが、それも、逃げ道がなくなった男の苦し紛れの決断のように感じられるのです。


この物語では、「語り」までも男を突き放しているように感じます。
男が不倫の沼に踏み込む場面はどこか他人事のように描かれ、心情描写はあるけれど深くまで踏み込まず、男のぶざまな一面が淡々と描写されゆくのです。


そうした語りだからこそ、「終の住処」のほかに逃げ場のなくなった男のむなしさ・侘しさがより際立つのだと思います。


そして、この物語のもうひとつ面白いところは、時間感覚がちょっと狂ったように感じられること。


男が不倫の道に進んだのは「あらかじめ定められていた」というように語ったり(屁理屈にしか聞こえないけど・・笑)、妻と口を利かなくなった11年の歳月をやけにあっさり描いたり。


時間の逆転、圧縮とでも言うべき描写がところどころにあり、それがこの物語の「つながらなさ」「孤立感」を色濃くしているなぁと感じました。


読む人によっては共感ポイントも少なく、その点でも「つながれない」物語かもしれません。
そう思うと、「つながらない」ことを突き詰めた物語とも思えてきます。
「そういう物語もあるのか・・」と妙味に唸らされるのでした。


まぁ、わたしが誤読している可能性は十分にあると思いますが(予防線をはっておきます笑)。
納得の芥川賞受賞作です。


もうひとつの短編「ペナント」は
「終の住処」で描かれた不思議な時間感覚をさらに突き詰めた物語だと感じました。


描かれるのは断片的な情景描写ばかり。
ですが、時間に関する示唆的な言葉もあり、人生は長いようで短いのか?一日は短いようで長いのか?というような哲学的なことを考えさせられます。


「驚くには値しません。あなたのような類の人間は、つねに人生最後の一日を生きているのですから、物の方が先回りしてあなたの到着を待っている、そんなことはいままでもあったし、これからもしばし起こることなのです。(中略)
そんなことよりあなたは、あなたの人生の時間が食いつぶされないように気をつけなさい。自分が偽者であることにすら気づいていない、絶望的に救いようのない連中が寄って集って、あなたにちょっかいを出して、あなたから時間をもぎ取ろうとするでしょう。なぜなら、偽者たちはあなたのような人間の時間を食べることによってしか、生き延びることができないことをよく知っているからです。(中略)」(105頁)


この台詞は、自分の人生にとって大事な問題を先送りし続けた「終の住処」の主人公を揶揄しているようにも感じました。


一週間、長いようであっという間に週末です。
毎日を「人生最後の一日」と思って過ごしてきたかというとそうでもなく、「終の住処」の主人公のように「こなす」感覚でやり過ごした日もあったと思います(疲れた日は特に)。


だから、とりとめのない「ペナント」を読んで、言語化できないドキリとした気持ちを感じました。


できるだけこの物語の妙味を噛み締めて、週末をゆっくり過ごしたいと思います。


それでは
今週もお疲れ様でした^ ^


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