こんばんは!
夏休みいかがお過ごしでしょうか?
読書感想文対策?なのか、ブログのアクセス数がいつもより伸びていて嬉しいです。
拙い感想文ブログですが、選書や感想文の参考になれば幸いです。
ただいま夏休み期間を利用して、積ん読にしていたぶ厚い単行本の読みつぶしにとりかかっています。
このシリーズは全8作ありますが、いまのところ
の2作しか読めておらず(^_^;)
どの作品もどっしりとしている(頁数が多い)ので持ち歩くのが少し大変。
おうちにこもってコツコツ読み進めたいと思います。
今日読んだのは薬丸岳『蒼色の大地』です。
いきなり自分ごとですみませんが、
今日はわたしにとって、ずっと忘れられない不思議な日です。
中学で別れた元友人の誕生日です。
「別れた」って元彼みたいに書きましたが、マイルドな言葉を選ぼうとしたらこの言葉になりました。
中学時代はいろいろありまして。
コミュニケーションの不器用さとかわたしの落ち度もあるのですが、元友人と対等な関係を築けなくなって、友達というより主従関係みたいになって(わたしが”従”)、それが嫌になってわたしから別れを切り出した、つまり友達をやめた、という過去がありました。
元友人はしばらくして学校に来なくなり、それから一度も会わずに今に至ります。
その後しばらく彼女のことを考える心の余裕はなかったのですが、たまにあの子は今何してるんだろう…と思い出すことがありました。
その「たまに」が、彼女の誕生日であることが多いのです。
中学から15年以上経って、今更何かがしたいわけじゃないのですが、もっとずっと長く付き合いのある友人の誕生日はぜんぜん覚えていないのに、中学以来会っていない元友人の誕生日を未だに覚えているのが不思議だなぁ、とこの日が来るたびに思います。
中学時代のやや暗い思い出を「過去のこと」だと消化しきれていないんでしょうかね。
それか、生まれて初めて「合わない人」に出会った衝撃が忘れられないのか。
いやいや、たまたま覚えていただけか。
そんなことを『蒼色の大地』を読みながら思いました。
薬丸岳『蒼色の大地』は、明治時代、生まれつき青い目をしている青年・灯(あかし)が平和な暮らしを求めて瀬戸内海のとある島に辿りついたものの、「海族」と「山族」の争いに巻き込まれてしまう物語です。
「海族」とは、青い目が特徴の人間で、「山族」は大きな耳が特徴の人間です。
「海族」と「山族」は昔から相容れない種族として対立を続けてきました。
基本的にはお互い避けるように暮らしましたが、ときにぶつかり戦に発展することも多くありました。
灯は「海族」の人間で、その青い目の特徴のために「青鬼」と呼ばれ、村の人間から差別され虐げられていました。
幼少期は差別に耐えて暮らしていましたが、唯一灯を匿ってくれた爺が亡くなったことで、灯は平穏な暮らしを求めて村を出て、瀬戸内海のとある島へたどり着きます。
その島は「鬼仙島(きせんじま)」と呼ばれ、本土では罪人が流れ着くようないわくつきの島と言われていますが、青い目をしている人間は「蒼皇」と呼ばれ、蒼皇を中心とした統治が行われていました。
灯は蒼皇の資質を買われ、蒼皇のトップ・海龍から重大な任務を任されることになりますが、その背景には「山族」に対する「海族」の激しい憎悪があり、やがて「山族」と「海族」の戦へと発展してしまいます。
灯は複雑な思いに駆られながら「海族」と「山族」の争いを止めようとするのですが、「山族」「海族」双方の感情のうねりに巻き込まれてしまいます…。
この物語では、憎悪の感情に呑まれて判断力を失った人々が狂乱する様が描かれます。
争いはなくならないのか、「海族」と「山族」の共存は叶わないのか、灯は鬼仙島で暮らしながらその思いを募らせます。
灯に感情移入しながら祈るように読みすすめ、あっという間に読み終わってしまいました。
この物語には「れっきとした悪人」や「諸悪の根源」が出てきません。
「海族」も「山族」も「言いようのない嫌悪感」にかられてお互いを憎み合っただけで、争いの発端も「ニワトリが先か、卵が先か」という感じで「悪」を突き止められないのです。
「海族」や「山族」は現実世界にはいませんが、「言いようのない嫌悪感」や「ニワトリが先か、卵が先か」というところは、自分ごとに置き換えてヒヤリとします。
上記のことに一切心当たりがない、と言い切れる自信はありません。
一体「悪」って何なのでしょう。
争いは“仕方ない”ことなのでしょうか。
感情に呑まれることが争いを助長することにつながるから、感情をなくした方が良いのでしょうか。
いやいや、感情がないと助け合ったり愛し合ったりできないし…。
ひとつわかるのは、答えが簡単に出ないからこそ物語ができるのだということ。
わたしはこの物語を読んで、自分の中にある感情の波に呑まれず、信念に従ってたくましく泳げる人になりたいなと思いました。
感情で周りが見えなくなったときがきっといちばん危ないから。
争いの芽を摘み取るためにはどうすればいいか考え続けようと思った一冊でした。
