またまた衝撃作に出会った。
この物語を読み終わって、言いようのない感情がこみ上げて震えた。
悔しさで泣いた。
いつまでも衝撃がやまず、心がざわざわして仕方なかった。









衝動で連続ツイートしてしまった。

この物語の感想はツイートの通りなのだが、改めてブログで今の気持ちをまとめておきたい。

姫野カオルコ『彼女は頭が悪いから』は、2016年に実際に起こった事件、5人の東大生によるひとりの女子大生への強制わいせつ罪で逮捕された事件をもとにつくられたフィクションだ。

(※「東大生 事件」で調べるとニュースの記事が出てきます。辛い…)

フィクションとはいえ事件内容は事実と同じ。
事件に至るまでの経緯を登場人物それぞれの生い立ちから語り、緻密なストーリーを練り込んでつくりあげられた物語だった。

この物語の主要な登場人物は女子大生の美咲と東大生のつばさ。
美咲は横浜出身だがのどかな家庭環境で育った優しい女の子として描かれ、つばさは渋谷区・広尾に生まれ育ち、ちいさなころから挫折経験の少ないエリートとして描かれる。

この事件が起こったきっかけは、美咲とつばさの関係だった。
美咲とつばさは大学生のときに出会い、美咲はつばさに恋をしてしまう。
つばさはそこまで本気にしていなかったものの、美咲の可憐さを新鮮に感じて好感を抱いていた。

出会ったときの勢いで接近し、お互いちょっといいなと思う、大学生によくある恋愛パターンのはずだ。しかし様々な不運と邪心が積み重なった末、ふたりはいい感じの男女から事件の被害者と加害者になってしまうのだった……。

この物語は単行本で400頁超の大作だが、一気読みをおすすめしたい。
というか、物語の途中からは「最後まで早く読みたい! 結末を早く知りたい!」という気持ちにさせられる。わたしは一晩で一気に読んで、感情の昂まりがMAXの状態で結末を読み、泣いた。

美咲にとっては悲劇でしかない。
物語を通して美咲と「実行犯」の東大生たちとの気持ちの温度差を読み取り、やり場のない嫌悪感と怒りがこみ上げてきて辛かった。

この物語で描かれるのは、賢さが反転して生まれたプライドの高さと底意地の悪さ、暴力、差別、そして現実だ。

これは実際にあった事件で、平気で卑劣なことを行える人間がいるという現実をあらわしている。

そして被害者の立場のはずなのに美咲が「のこのこついていく方が悪い」と言われ、世間から非難を浴びる。

詳細は物語をぜひ読んでいただきたいのだが「そういう見方」をしてしまう人がいるということに打ちのめされそうになる。
なんて辛い現実だろう。なんて悔しいことだろう。

この物語の唯一の救いは美咲が通う大学教授の言葉だ。
美咲を直接的に救うということはないが、いちばん勇気をもらえる言葉を美咲に与えている。教授の言葉がなければ後味が悪すぎて放り投げていたかもしれない。それぐらいわたしにとっては読むのが辛い物語だった。

ツイッターにも書いたが、わたしはこの物語から学ばなきゃいけないと思った。

世の中に思わぬ暴力がひそんでいることを。それがとっても理不尽な理由からくることもあることを。


不幸にもそういうものに出会ったときは、戦うとか反抗とかじゃなくて「逃げる、距離をおく」がきっと最も良い判断だ。

戦ったところで噛み合うことはない。反抗したら力勝負になって、負けたときにさらに辛い気持ちになる。だから戦わずにいったん引いて冷静になるのが最良だ。


そういう方法があるということを知ったのはつい最近で、のどかな町に生まれ育ち、世間知らずでぬくぬくキャンパスライフを送ったわたしはもしかしたら「美咲」になっていたかもしれない…と強く思う。


だからこそわたしは美咲に強く感情移入してしまう。

そして全大学生が読むべきだという衝動ツイートをした(それは今でも変わりません! 全大学生が読むべきだと思う!)。


起きてからでは遅いこともある。

こういう悲劇が二度と起こらないように、読み継がれるべき小説だと思った。


話はすこし逸れるが、昨年末に東大で本書のブックトークが行われて議論が紛糾したらしい。


東大の描写に違和感がある、東大は挫折の少ないやつばかりが集まると描かれるのは違う、というような指摘もあったらしい。

本質はそこじゃない。東大生みんなが事件を起こすようなやつじゃないということは誰もがわかっている。
けれど、罪を犯したやつが実際にいるのだ。大学のブランド云々じゃなくて、そういう暴力がなぜ起こってしまったのかをきちんと受け止め考えなければならないと思う。

この物語は東大を貶めるために書いたんじゃなくて、こういう悲しい事件が二度と起こらないために書かれた小説だろ! と思ってワナワナしていたら偉い人(記事参照)が同じように答えていてホッとした。

そしてこの問題で気持ちがざわついていたタイミングでタイムリーな記事を見つけた。↓

東大生の事件よりももっと悪質な罪を犯した元早大生の手記で、ここで言及されていた「最大の元凶」はその通りだと思ったし、東大生の事件にも通ずるものがあった(ウェブは全文掲載じゃないようなので、気になった人は紙面で確認してみてください)。

つらつらと気持ちを書いたけれど、まだ心がざわざわする…。
今日はゆっくり休んで、癒し系小説を手にとって辛いことから距離をおくことにする。

忘れられない衝撃作がまた増えた。