自分のためにするおしゃれも、他人のためにするおしゃれも、まだスタンスが定まらずに模索するおしゃれも、すべてはその人が「どうありたいか」と結びついた、その人ひとりだけのものに他なりません。(中略)

自分の「好き」をつらぬいた格好も、世間の「ウケ」を狙った格好も、その人の生き方の表明である限り、ひとしく美しく、そしてめちゃくちゃかっこいいものなのです。」(はじめに」より

 

カーーーーン!!

この文章を読んだとき、わたしの頭の鐘(?)が鳴り響きました。

 

わたしはおしゃれをすることが大好きです。

ちいさい頃にサイズの合わないキラキラの靴を履いていたから足の爪が巻き爪になり(嘘、たぶん遺伝ですが笑、母が冗談で言ったことをけっこうずっとそうだと思っていました)、小学校高学年で髪の毛を巻き、中学から「Zipper」という古着系ファッション誌に心酔し(今は亡き伝説の雑誌……泣)、高校でマイナス25度の極寒地(北海道)にもかかわらずミニスカ生足を貫いたり、大学で金髪に染めようとして失敗しマーブル模様の髪の毛になったりしていました。

 

わたしにとっておしゃれやメイクは、無くてはならないものでした。

なぜなら、わたしは「まぁそれなりに愛嬌はあるけどちょっとブス」な顔をしていからです。


ありのままの姿など、人様にお見せできるもんじゃない。

メイク前に鏡をじっと見つめて「あ〜、自分けっこうブスだな」と思いひとり落ち込むことが多々あります。そんな自分が忌々しくて、自分のアラをなるべくなかったことにするべく、あれこれ一生懸命塗りたくり「外面」を作り上げます。


おしゃれに関しては、カラフルなものを好みます。

社会人になるまで「人とかぶりたくない! 派手仔大好き!」だからだと思っていましたが、もしかすると目線を服装に持っていってもらい、顔面を見られないようにするためにカラフルな服装を好んだのかもしれません。

 

劇団雌猫『だから私はメイクする 悪友たちの美意識調査』は、おしゃれやメイクが大好きな「悪友」たちがどういう理由で自分を装っているのか記した寄稿文集です。


彼女たちの装いは、「自分のために」「他人のために」「何かを探して」の3章立てでまとめられ、「あだ名が「叶美香」の女」「会社では擬態する女」「育乳にいそしむ女」などそれぞれの美に熱狂する女が登場し、バリエーションに富んだ悪友たちの生き様を垣間見ることができます。

 

彼女たちの美の探究心と努力はほんとうに涙ぐましいもので、それぞれに「がんばれ!!」とエールを贈りたくなりました。


そしてコスメ熱がとにかく熱く、読みながら「NARSのライトリフレクティングセッティングパウダー、サンバリア100の日傘、ジバンシイの拭き取りメイク落とし、ブラデリス……」とスマホにメモました。有名な芸能人やメイクアップアーティスト推薦のものも良いけれど、たかが100グラム程度の粉に50万以上費やした一般女性のレビュー説得力の塊です(すごい…!!)。

 

本書は「試着室に美意識の高い女たちが集ってぺちゃくちゃ喋り倒している」ような一冊でした。「これかわいくない?」「これ、めっちゃいいよ!!」「それ似合うよ〜〜!!」なんてキャッキャウフフしてる空間。ただただみんなが装うことを楽しんで、ちょっとした下心、企み、意地悪さも持ちつつ戦略的に美を選ぶ様子は読んでいてとても心地の良いものでしたし、とても勉強になりました。

 

わたしはある時期、自分の服装もメイクも何もかもが迷走していた時期がありました。

それは就活中のときです。

 

世は就職氷河期で、わたしは不安に駆られて「こうあるべき」とされる就活生の姿に擬態して就活に励みました。ですが志望していた業界は個性を重んじるところで、どこにでもいそうな就活生に擬態してしまったわたしは見事に玉砕したのでした。

 

就活がうまくいくようになったのは、髪型を変えてからでした。

試験に慣れてきたのか、髪型を変えたのがいちばんの理由なのかはハッキリしませんが、ロングヘアでポニーテールをしていた姿を彼(今の夫)が「髪を切った方がいい。俺ならそんな髪型の人と働きたいと思わない」とバッサリ斬りそう言われて泣きながら美容室に行った結果就活がうまくいくようになったのでした。

 

あのときは「言い方―! ひどーい!!(号泣)」と思いましたが、心の片隅で夫の言うことも一理あるなと思っていました。ロングにこだわりがあるわけでもないのに、なんでわたしはあんなに髪の毛を伸ばしていたのかと言うと、わたしが思う就活生の「こうあるべき」にとらわれていたからに他なりませんでした。

 

あのときの苦い思い出は7〜8年経ったいまでも忘れられません。

「こうあるべき」にとらわれることは未だにあり(世の中の「こうあるべき」多すぎる問題)、そういうときに就活のことを思い出しては「こうあるべき」ではなく「どうありたいか」大事だ!! と自分に喝を入れる日々を送っています。

 

「装う」ということは、「自分らしさ」を世に発信することです。

本書を読んで、わたしももっときれいになりたい! もっとおしゃれになりたい!! もっとわたしらしくありたい!!! いう「自分欲が湧いてすごくワクワクしました。


未だに失敗することは多々あります(ネットでしばらく服は買わないと心に決めました)、年齢を重ねてシミ的なもの(認めたくない)が気になり自分のブスさに落ち込むことはありますが、だからこそ自分装いを楽しんで自分のごきげんをとり、たまには社会と折り合いをつけ、世の中をうまく渡り歩いていきたいと強く思うのです。

 

冒頭のひらりささんの言葉に目がさめるような思いがしました。

日々、自分史上最強の自分でいられるように生きてやるわ〜〜!! と闘志に燃えた一冊でした。

 

来年はブラデリスはじめるぞー!!(謎宣言)