そのお知り合いの方は、Facebookで「久しぶりに風邪をひいた」をいう投稿をされていました。
すごくアクティブでパワフルな方で、わたしはその人の行動力をとても尊敬していたので「あぁ……無理せず……お大事に……」と心から思いました。
しかしその方は、風邪をひいてしまって落ち込んでいるかと思いきや「やったぁ、ラッキー!」とか言って、全然ポジティブだったのです。
わたしは「はぁ? なんで??」と思いました。
風邪ひいたら辛いじゃん。しんどいじゃん。だるいじゃん。
あ、だから学校休める的なラッキー!?
いえいえ、その人はお子さんもいるりっぱな社会人です。
その人によると、風邪は「身体を新しくするチャンス!」とのこと。
しかも、「秋口の風邪のお陰で、また身体が若返ったハズ」とのこと。
……えぇ〜〜〜???
わたしははてなマークだらけです。
その方がそう思えるようになったのは、野口晴哉さんが提唱した「野口整体」の作法を会得したかららしい。
その投稿でおすすめされていた本が、野口晴哉『風邪の効用』なのでした。
風邪ひいてラッキーとかどんだけ〜! アンチエイジングまでできるとかどんだけ〜!(IKKO)と思ったので即効で買いました。
本が届いて、まず帯の文言にびっくり。
お……おぉ……と、帯の断定的な言葉でまず圧倒されます。
そして開始早々にその方が言ってることと同じ言葉が出てきます。
「風邪を引くとたいてい身体が整うのです。」(18頁)
これまで風邪をひいたら身体が弱ってしまうと思ってきたわたしは、えぇ、そうなの……?? と半信半疑になりつつも読み進めます。
独自の整体法を提唱された方なので、少しの専門用語をはさみつつも、わたしたちが思う「風邪」の常識をぶち壊し、野口さんの持論が展開されます。
かなりざっくり言うと、風邪というのは「かわす」か「経過させる」かのどちらかで対処するべきもので、たいていの原因は身体のどこかの「鈍り」(凝り的なもの?)によるもの。
この鈍りがどこにあるかを確かめ、的確な方法で「愉気」(専門用語、おそらく“ホイミ”的な回復の作法)をすれば風邪は「経過」していき、風邪が経過したことによって身体の鈍りがなくなり、身体が以前よりもバランスのとれた状況になっている、ということらしい。
だから、風邪をひいたからといってむやみに薬で熱や鼻水を鎮めるようなことをしてはいけないし、そうしてしまうと「鈍り」がとれないから、変に長引いたりこじらせたりする原因を生んでしまう、とのことなのです。
こうしてひと息に書いてしまうと「はぁ〜!? まじ意味わかんないんだけど」と思われるかもしれません。
ですが本書ではこのことについて専門用語やめちゃくちゃわかりやすい例え話(“交通整理”に例えていました)を交えながら、何度も何度も「風邪の効用」について語り尽くしています。
最初は「ふぅん……そうなの?」という気持ちでしたが最後の方まで読んでいると「そう言われればそうなのかも!」という気持ちになってきます。
これはわたしが単純野郎というだけではありません。
「風邪の効用」はスピリチュアルなヒーリングパワー的なものではなく、身体の内側を自分自身でしっかり見つめて、異変(鈍り)のもとを辿って治す、ということを淡々と語り続けているのです。
鈍りを見つけたからといってそこさえ治ればよい、ということでもなく、身体のめぐりに従って治さないと意味がなく、身体のめぐりに従うからこそ風邪を全うした後は身体のバランスがすこぶる良い状況になる、と言うのです。
最後のほうは、わたしはひたすら「ほおぉ……!!」とうなずきっぱなしです。
たしかに、疲労や凝りを放置して無理しすぎるからしんどい風邪をひいちゃうのかも……と思えてきます。読めば読むほど、身体をいたわろう……という思いが自然と湧いてきます。
本書のなかの「風邪を全うする要領」は、ぜひ今度風邪をひいたら試してみたいと思いました。
ここ数年風邪をひいていないので、今度風邪をひいたら最強にしんどいのがきて寝込んじゃうんじゃないか……とビクビクしていましたが、この本を読んで風邪と身体への意識ががらりと変わりました。
最近疲れ気味の方、すでにちょっとした風邪をひいている人は一読の価値ありです!

