海外文学読み直し、今回はフランス文学です。
これまで、「カミュ! 異邦人! 聞いたことある!」って感じの超なんでもない印象を持っていました。
文庫を手に取ると、おぉ、薄い。130頁くらい。
これなら一時間半くらいで読めちゃうんじゃね~? と余裕ぶっこきました。
結果、読み終わるのに3日かかりました。長かった……。
つまずいたのが冒頭。
あらぁ……ママン(母)が亡くなったのね……かわいそうに……むにゃむにゃ。ハッ!
あらぁ……ママンの葬式が終わってすぐに彼女つくっちゃった……むにゃむにゃ。ハッ!
ムルソーの家の隣人たちはクセの強い人たちだなぁ……むにゃむにゃ。ハッ!
みたいな感じで、数行読んでは寝、数行読んでは寝、という状態で、本を読んだ夢を見たときもありました。冗談みたいなほんとの話。笑
も~~最初の80頁を読むのに2日半かかりました。
自分の集中力の問題はもちろん、「異邦人」という物語の性質のせいで、ここまで時間がかかってしまったのだと思います。
主人公のムルソーは、世の中のできごとや自分の身にふりかかったことに対してどこか他人事のようにとらえていて、ママンの死に目にもあわず、仕事にも熱意をみせず、恋人のマリイとの将来も考えず、行き当たりばったりな生活をしています。
あるとき友人レイモンの誘いでマソンという紳士の家に遊びに行ったとき、レイモンとひと悶着あったアラビア人と揉め、すったもんだの挙句にムルソーがアラビア人を射殺してしまう。
ピストルを撃った瞬間、わたしは、むにゃむにゃ……ん……え、撃ってるやん!!
みたいな感じで目が覚めました。笑
その瞬間の描写がすごい。
駅の改札に切符を入れて通るとか、通話ボタンを押して電話に出るとか、そんな感じの何気ない動作に混じってピストルが発射される。
海辺の太陽の光、汗が目に流れてきて、それで目がくらんで、たまたまレイモンから取り上げていたピストルで、アラビア人を……。という感じ。
ムルソーの態度は「勝手に発射されちゃった!」と言わんばかりで、一瞬、これ夢なのかな~? と思うくらいの落ち着きよう。
この場面が読み終わってからも強く印象に残っています。
ムルソーは世の中に対してよそ者(わたしは「異邦人」を“よそ者”と解釈しました)の感覚をいつまでもぬぐいきれずに、取り返しのつかない事態を引き起こしてしまいます。
「異邦人」は事件が起こるまでが第一部、その後の展開が第二部と二部構成になっていて、第一部に2日半、第二部に半日かけてやっと読み終えました。
第二部は、裁判にかけられるムルソーの心理描写が中心。
ムルソーがあまりにも「異邦人」の態度をくずさないため、情状酌量されず、とうとう最悪の結末を迎えます。
どこまで自分の人生に興味ないねん……と思いつつも、恋人のマリイを会えないことで欲情ばかりがつのっていて、そこだけは興味あるんかい、とツッコミながら読み進めました。
ムルソーは、自分の性欲以外に熱狂できるものを見いだせなかったから「異邦人」のままになってしまったんだろうか、と思いました。
ムルソーはそれなりに仕事もし、たぶん頭も良く、イケてない人間というわけでもないだろうに、生活に不満だらけで熱中できるものも特になく、人生すごくつまらなそう。
最後の最後に少しだけ人生を「自分ごと」としてとらえ怒りをあらわにする場面があるのだが、時すでに遅し、自分の人生をどうしたって変えられないところまできてしまっていたのでした……。
読み終わって感じたのは、ムルソーの「異邦人」の状態がわからないでもないなぁ……ということ。
3年くらい前、仕事がイヤでプライベートもうまくいかずになげやりに生活している時期があり、そのときはものすごく「人生に積極的に参加してない感」がありました。何事もやらされてる、みたいな。
なんやかんやあって今は自分が熱中できるものを見つけたのですが、もしなかったら……と思うとちょっと怖い。
フランス文学って、現代にも通ずるような悲劇が多くておそろしい。
身につまされた一冊でした。
