今日は月に一度の読書会の日!
今回の課題図書はトニー・シェイ『ザッポス伝説』(ダイヤモンド社)。
| ザッポス伝説 顧客が熱狂するネット靴店 [ トニー・シェイ ] 1,728円 楽天 |
「御社の企業理念に惹かれ、ここで働きたいと思いました!」
なんて言葉は都市伝説! だと就職氷河期に就活していた身としては思っていたけれど、本当に「企業理念」に惹かれる企業があることを今日知った。
「ザッポス」は、オンライン靴店としてアメリカで大成功した企業だ。
ほぼゼロの売り上げから創業10年で年商10億円を達成し、2009年にアマゾンに買収された。
アメリカでは超有名企業なのだが、日本ではあまり知られていない。けれど本書を読み進めていると、「わたしもザッポスで働いてみたい!」という気分になった。
『ザッポス伝説』は、CEOのトニー・シェイの生い立ちから会社員、独立、投資家を経てザッポスに参画するまでのストーリーと、ザッポスを急成長させるまでのストーリーの大きく二つに分かれている。
トニーは幼少期から商才があり、小学生の頃はミミズ牧場経営やバッジ販売などのビジネスを起し、バッジ販売では毎月200ドルの売り上げを出す。
そして(当たり前のように笑)ハーバード大学卒業後は、大手ソフトウェア企業のオラクルに就職するが数ヶ月で辞め、起業を志す。
紆余曲折の末にトニーはザッポスに出会うのだが、幼少期・学生時代のエリートエピソードと成功体験の多さに圧倒されてしまう。
オンライン上で靴を売ることはいまでは珍しくないが、ザッポスができた当初はネット靴店はまったくの未開拓地で、ザッポスは少しずつ業績を上げていく。
しかしトントン拍子にうまくいったわけではなく、何度か倒産の危機に追い込まれるものの、自分の全財産を売ったりレイオフをしたりしてザッポスはギリギリの状況を生き延び、ビジネスを軌道に乗せていく。
未開拓地のオンライン靴店ということもあるが、ザッポスが全米から注目されたのは「カスタマーサービス」と「企業文化」を重要視し、徹底的に充実させた独自のブランディングを確立した点だ。
カスタマーサービスの充実は、物流やコールセンターに投資し、予定よりも数日早く顧客に商品を届けたり、オートマチックな電話対応でなく一対一のコミュニケーションをすることで柔軟なトラブル対応を可能にしたりすることで顧客満足度を上げるというもの。
たしかに、届いた商品にトラブルがあって電話をかけたときに「◯◯の方は、1番を押してください」みたいなオートマチックな対応で5分くらいかかったら嫌だよね……と読書会メンバーでうなずきあう。
企業文化の充実は、ザッポスを成長させるにあたり全員が100%の力をザッポスに注げるように、トニーを中心に全社員で作り上げた企業理念「10のコア・バリュー」が基になっている。
それは以下の通り。
①サービスを通して「ワオ!」という驚きの体験を届ける
②変化を受け入れ、変化を推進する
③楽しさとちょっと変なものを創造する
④冒険好きで、創造的で、オープン・マインドであれ
⑤成長と学びを追求する
⑥コミュニケーションにより、オープンで誠実な人間関係を築く
⑦ポジティブなチームとファミリー精神を築く
⑧より少ないものからより多くの成果を
⑨情熱と強い意志を持て
⑩謙虚であれ
(258頁)
この「10のコア・バリュー」を基に、社員が情熱を持って働けるような仕掛けが職場のいたるところにあるらしい。
自由で、クリエイティブで、上司にも社長にもなんでも相談でき、誕生日などのお祝いごとは会社のみんなで祝い、だれかに不幸があればすぐに他の社員がフォローにまわる……。
「10のコア・バリュー」を体現すると、職場はこのような雰囲気になるらしく、それゆえにザッポスの社員は100%の力をザッポスに注ぐことができるのだ。
日本企業でイメージすると、ディズニーランドのようなものだろうか。
ザッポスのような社風にただただ憧れ、読み終わるころには、今の職場はどうかなぁ……と少しネガティブな気持ちになった。笑
トニーは小さい頃からさまざまなビジネスに触れてきたけれど、最終的には利益追求よりも「幸福追求」であれ、という考えに至った。
ザッポスの企業理念やサービスは、社員と顧客の「幸福追求」のたまものだ。
企業理念にフィット“しきる”人(100%ザッポスの企業理念にフィットできないと、かなり働きにくそうだ)がどれだけいるか、という問題もあるが、こういう企業がもっと増えれば世の中はもう少し平和になるのではないか、とほんの少し思った。
起業を志す人にはきっと何かのヒントになるだろう一冊。
わたしのように「企業理念に惹かれる」という志望動機が意味わからない!という人も、新たな世界を知れて良い刺激をもらえるのでおすすめしたい。

