お悩み相談はブーメランだ。

恋愛、仕事、家族、見た目のコンプレックス、身の回りのちょっとした出来事(だいたい嫌なこと)を相談されたとき、それっぽい返しをしながらも「じゃあ自分はいったいどうなんだ〜い? ちゃんとできてるのか〜い?」と思う。

 

まだ28年しか生きていない小娘なのでたいした相談はされたことがない、ていうかむしろこっちが相談するほうがむちゃくちゃ多いのだけれど、お悩み相談ほど自分に刺さるものはない。

 

当たり障りのないことを言えば「中身のねぇ奴」と思われるんじゃないかと気にするし、強いことを言えば「自分はどうなんだ〜い?」と同じ強さで跳ね返ってくる。

 

しかも相談のいくつかは答えがすでに決まっていて、やっぱそうだよね!って自信を持ちたいだけの場合も多く、「いかに画期的な答えを与えられるか」というわけでもないのがお悩み相談の悩ましいところだ。

 

本書はお笑い芸人の光浦靖子さんが様々なお悩み相談に答えていくのだが、お悩み相談ってのは2種類あるんだな〜としみじみ思った。

 

本当に助けを求めているものと、そうでないもの。

 

「感動作に感動できない」「元妻との復縁」「誰もいないときのボケ」「面白顔の人との付き合い方」などなど、本書のほとんどは後者の「クソ質問」で、悩んでるようで悩んでないだろ!エゴを認めてもらいたいだけだろ!自分が優位に立ちたいだけだろ!というものばかりだった。

答えてくれるのがお笑い芸人だから「面白い返し」を期待しての「クソ質問」が多いのかもしれないけれど……光浦さんの気苦労たるや計り知れない。

 

光浦さんは「クソ質問」だらけのお悩みにあれこれ答えていくのだが、本書の「はじめに」で自分のスタンスをはっきり示していたので清々しく読めた。
 
「読んでみて思いました。全ての悩みは「お前より私のほうが繊細だぞ」からきてんだな、と。「繊細」とは、都合の良い言葉です。感性が豊かで、細やかで、傷つきやすくて、だからこんなに自分はお前と違って悩んでるんだぞ、と肯定できますから。(中略)
そんな読者の悩みに、輪をかけて「お前より私のほうが、もっともっと繊細だぞ」という態度で私は答えています。」
 
「クソ質問」もそうでないものも、光浦さんの「返し」が絶妙。
 
 
 
 

光浦さんは「クソ質問」に答えているようで答えていない。

いつのまにか自分の話にすり替えていたり、相談内容から全然違うワードを連想させてそっちの話を進めちゃったり、相談者の人格分析をしてブチギレたりしている。芸能界という超荒波にのまれつつもなんとか生きている光浦さんは、「クソ質問」をしてくる相談者のお気楽ぶりが鼻につくのだ。

 

もちろん、本当に助けを求めているまじめなお悩み相談(「20歳上のおばさんへの恋」とか「息子がお金を盗む」とか)には真剣に答えている。「20歳上〜」の相談は自分と重ね合わせていて超ノリノリ。

 

読みながら「なるほどな〜!」と膝を打つものもあり、耳の痛い指摘もありで、これからひとりで悩んでドツボにはまりそうな時はこの本に頼りたいなと思った。

 

読み終わってから「はじめに」を読み返し、全ての悩みは「お前より私のほうが繊細だぞ」という意識からくるということに大いにうなずく。


みんな自分の「繊細さ」をわかってほしいのだ。

相談という名の自己アピール、わがまま、悲劇のヒロイン演じたい欲求、すべてひっくるめた承認欲求に共感しっぱなしだった。

 

「クソ質問」とか言いながらも、わたしだってクソみたいなことでうんうん悩む。

ちょっと自分の思い通りに行かなかったからって猛烈に落ち込んだり、結果が出なかったことを指摘されて「わたしはこんなに頑張っているのに!!」という顔をして聞いてしまったりする。

そしてこうした承認欲求は「みんなあんたのことにそこまで興味ありませんから〜!」というブーメランで返ってきて、それが心臓をド直球に貫いてさらにダメージを負う場合が多い。

 

けれど。

こうした悩みに対してよ〜〜〜く言われる「気にしすぎだよ」「大人になりなよ」という回答は、聞きたくないし自分でも言いたくない。

 

たいていの悩みはこのふたつの論法で片付けられる。

右から左に受け流せばうまく荒波を乗り越えられるよ〜。というアドバイスにもどかしさしか感じない。

そうなんだろうけどさ!

「気にしない」ができたらもっと楽に生きられただろうしもっとみんなに好かれていただろうけどさ!!

自分のなかの「何か」が受け流すことを良しとしないから悩むのであって、悩むのは止められないわけで!!

面倒くさい人間ですいませんねぇ! って思ってもっとモヤモヤしちゃう。

 

だから光浦さんの輪をかけて「お前より私のほうが、もっともっと繊細だぞ」という態度でいてもらったほうが相談している方もなんか楽になる。

わたしがもっとオバハンになって、歳下からお悩み相談されたときはこういう態度で相談者から面倒くさがられるのも良いなぁ、とも思った。


すごく好きな一冊だった。