年の瀬のあわただしさにかまけて「ていねいなくらし」から程遠い日々を送っている。
とは言え最低限のたしなみは保っている。毎日身だしなみを整えて、こまめに洗濯をして(たたむ余裕はない)、お弁当を作っている。社会人として「それなりのくらし」という感じ。ちなみに部屋はぐちゃぐちゃだ。
一年前、大阪から東京へ引っ越す時に「余裕の無いときにこそ人間性があらわれる」と実感した。焦って厳しい物言いしかできなくなる自分を猛省したのを強く覚えている。
余裕の無い時に松浦弥太郎さんの言葉を読むと、しみる。アルコール消毒されるような毒気のない文章に心の傷口がしみるのだ。傷口とは、自分の欠点だ。
「伝わるちから」というタイトルに惹かれて手に取ったが、本書には松浦さんが文章や言葉で発信するときに心がけている「ていねい」さについて語られている。
本書は6章構成で、特にわたしが響いたのが「Chapter5 心を整理整頓する」の章だった。
「僕はある法則を発見した。かけた時間と成長は正比例しない。成長とは二次関数で、最初はゆるやかだが、あるポイントを超えると勢いが増してグンと伸びる。(中略)
だから、続けていることの結果がなかなか見えなくても大丈夫。きっと伸びるポイントがもうすぐやってくる。仕事も暮らしも、人と人との関係にも、この法則は当てはまる。そう、やめたらだめなんだ。続けること。」(135頁 成長の法則)
松浦さんの成長の法則によると、わたしはまだ伸びるポイントに至っていないようだ。けれど、この一節の法則を体感するまであきらめないと決めた。
松浦さんは自分の決めたことをやめずに続けるけれど、時には休憩してぼんやりする「余白」を作ることが大切だと言う。この章を読みながら、ああ、わたしはタイトル通り心の整理整頓をして「余白」を作りたかったのだな、と思い至った。
頭のなかに「余白」を作り、そこに自分が本当に好きなものや必要としているものを入れたいのだ。そして好きなものや必要としているものに時間と心を砕きたい。
松浦さんは、自分がどうしたいのか、どこに課題があるのかを客観視して考えることも重要だと語る。
客観視、分かっていてもなかなかできないことなのだよなぁ。松浦さんは、押しつけがましくなく、自分を客観視するコツを教えてくれた。
松浦さんは、上記に述べた以上の「ていねい」な心がけ、暮らし方をかれこれ10年以上もやってのけている。
「ていねい」の維持がどれだけ大変か「それなり」族のわたしは身を持って感じているので、松浦さんの徹底した生き方に敬服しないではいられない。
なんかもう、すごくまぶしい。そして思いやりにあふれたやさしい人だと感じた。
わたしもやさしい人になりたい。あわよくばまぶしいと思ってもらいたい。
そう改めて思いながら、一呼吸おいてリフレッシュできた一冊だった。
めちゃくちゃ美味しい…
