1600年代、イタリア・トスカーナ地方のとある小都市で暮らす蝋燭屋の娘・エレナ。エレナは無口な少女で周りの大人たちから気味悪がられるほどだったが、成長するにつれ無口は秘密を纏う色気に変わっていった。

エレナは二十歳で帽子屋の青年・ジャコモと結婚。奔放に見られがちのエレナは純潔で、ジャコモはエレナを熱烈に愛した。
ジャコモは感激屋で、熱烈に愛する反面時おり「エレナのびっくりするようなこと」で怒り、エレナを怖がらせた。そんな気性のために、ジャコモはのちに大罪を犯し、処刑されてしまう。

エレナは二十二歳にして刑死者の妻・未亡人として人生を歩むことになった。さらにジャコモが処刑される日の面会の場でジャコモは「僕のことだけを忘れずにいて欲しかった」としてエレナの鼻を口で噛み切ったのだった!
この物語は、愛する夫を亡くし大きな疵痕を残された衝撃を抱いて生きたエレナの「後日の話」である。

17世紀のヨーロッパはバロック美術の全盛期。フェルメール、レンブラント、ミケランジェロなどの西洋美術のイメージと、物語世界のイタリアの蝋燭屋と帽子屋、使いの者や洗濯女を経由して渡される恋文、馬車を走らせ散歩やデートを楽しむ休日をリンクさせて読み進める。
日本にはない西洋の街並み・文化の言いようのない美しさを感じて憧れてしまうのだが、物語内容はかなり残酷な後日談である。

エレナのような境遇の女性はきっと日本にもいるだろうが、17世紀の日本は江戸時代。日本版はもっと湿っぽくてみじめで「うらめしや…」な雰囲気漂う怖い話になってしまうだろう。
イタリアだからこそ漂う美しさをはっきりと感じたのだった。

今度はイタリアへ旅したい。と思って手に取った一冊だったが、湿っぽい日本の雰囲気にコンプレックスを感じる自分を発見したのだった。

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ここ最近大盛況の「怖い絵展」に通ずるものがあるかもしれない。