本書を読んで、わたしは夢を叶えようとせず夢から逃げている、と確信した。
著者のはあちゅうは、ブログ黎明期にいち早くブログを始め、大学時代にスポンサーをつけて世界一周を達成したカリスマ女子大生ブロガーとして活躍し、大手広告代理店のコピーライター、美容・動画サービスのプロデュースを経て現在はフリーのライターとして独立したネット時代の先駆者だ。
上記のことを20代の若さでやり遂げた著者が、どうやって夢を叶え続けてきたか。
夢がなかなか叶わない人への喝と夢を持たない人への助言を含めて書かれていたのは、著者の「半径5メートル」に集中した生き方だった。
「半径5メートル」とは、著者がTV番組に出演した際に偶然発した言葉で、ブログやツイッターなどのSNSを通じて自分の半径5メートルくらいの世界を気軽に発信できる時代になった今だからこそ、半径5メートルの「個」を大事にして、そこから芽生えた小さな野望を育てていくことが重要なのではないか、とネット時代の新たな生き方を提言したものだ。
それは著者の経験に裏打ちされたものであるから自然と言葉が出たのだろう。
手探り状態のブログ黎明期から「個」を発信し、いち早く「個」としての道すじをつけた著者は注目度が高く、同時に多くの反発を受けてきた。
けれど著者は負の力を燃料にして活躍し続け、自分のレベルを上げていく。
反発を受けて落ち込む暇などないのだ。
著者は時間を大切にする意識が非常に高く、本書の至るところで時間に対する言及が見られる。
「小物が、私に何かを言ってきた時の対処法はまだまだあります。(中略)
「相手は、何も考えずに、5秒くらいの反射神経で、その言葉を放ったんだ」と思うようにしています。(中略)
そんな、小物の5秒に対して、大物を目指している私が24時間落ち込んでいたら割に合わないので、ムカッとしたとしても、5秒で忘れることにしています。」
(第1章 負を燃料に変える)
「今の私は、昔憧れていた人に日常的に会えるようになりました。(中略)でも実はその時、「一緒にお食事に」という言葉がノドまで出かかるのを、我慢したのです。相手のほうが忙しいに決まっているから、絶対に自分から誘ってはいけないと思いました。」
(第3章 存在感をつくる)
多くの実績、活躍、失敗、反発という経験を経た著者の思考はとてもシンプルかつ合理的に研ぎ澄まされている。それは時間を大切にするという意識が強く根付いているからなのだろう。
著者は、自分のやりたいことを仕事にしたいのなら、自分の半径5メートルにとことん集中すること、集中する「覚悟」を持つことができなければ夢は叶わないと断言する。「第4章 夢を叶え続ける」以降はわたしが本書で一番響いた箇所であり、逃げていた自分と向き合う心苦しい箇所でもあった。
「目の前の仕事をコツコツとこなしていくことが、結果的に夢へと導いてくれました。自分の周りの「半径5メートル」に目を向け、飛び込んできた仕事に真摯に取り組んでいれば、自分でも思いもよらなかったチャンスが巡ってくるのだと実感しています。」
(第4章 夢を叶え続ける)
「努力をしない人は、自分の夢に向き合う勇気がないだけです。そういう人は、自由だったら怖くて何もやらないし、制限があったらそれを言い訳にして、結局何もやらないのです。」
(第4章 夢を叶え続ける)
「悩んでいる間にも刻一刻と自分の残り時間は短くなっています。(中略)
才能がない、時間がない、お金がない、チャンスがない……言い訳を考えていたら、誰だって、いくらだって出てきます。その中で「どうやって乗り越えよう?」と思える人だけが、夢を叶えられるのだと思います。」
(第6章 進化と深化のバランスのとり方)
とにかくやる。やるしかないと決め込む。夢を叶えるためには人生を本気で変えようと思って行動するしかないのだ。そう繰り返す著者の言葉に居ても立ってもいられなくなった。
わたしは何に悩んでいたのだろう?と思い返しても明確に表せられない。その正体は"漠然とした不安"でしかなく、そんなことに囚われている自分がバカらしい、と目が覚める思いがした。
本書は書棚のジャンルとしては自己啓発になるだろうが、著者自身の大学デビュー前の苦い過去や仕事での失敗、対人関係での悲しい経験などを包み隠さず書いていて、自己啓発本と同時に自伝的エッセイの役割も果たしていると感じた。
著者は大学デビュー前のネガティブな自分を本気で変えようと思い、勇気を出して行動したことで夢を叶えるチャンスを得た。
経験者だからこそ足踏みしている人に寄り添いつつ背中を強く押す言葉をかけることができるのだ。
「まともに生きている人って、そんなに他人の人生に興味がないんですよね。ヘアカットの翌日、髪を切りすぎたと思っていても、1キロ体重が増えて落ち込んでいても、誰にも気づかれないように、みんな人のことを、自分が心配するほどには気にしていないのです。」
(第7章 人生を最高傑作に変える)
だから好きなことをやることに自意識過剰になる必要はない。一歩踏み出す覚悟を決めるだけ。そして行動を起こすだけなのだ。
読了後、わたしは奮起した。
まず行動したのは【お酒をやめる】ことだった。
恥ずかしながら、わたしは良い年をしてお酒に呑まれることがよくある。
先週の休日も、昼からビールワインをがぶ飲みし、夕方以降の予定を台無しにしてしまった。
こういう時間の使い方をしている時点で夢を本気で叶える覚悟ができていないと本書を読んではっきり自覚できた。
これからは毎日の晩酌(お酒に呑まれるくせにやっていた…)をやめて、ノンアルコールで身体に負担をかけずに夕食をさっとすませ、自分の時間をつくることにした。
そして本書を読んで、わたしはどうして読書をするのか、読書感想文を書き続けているのかが少し分かった。
自分を変えたいからだ。
西加奈子『サラバ!』の読書感想文でも書いたが、読書は自分のためのものでしかないとやはり思う。
どの箇所で共感したのか、なぜ響いたのか、問いと答えは自分の中にあり、自分の「半径5メートルの日常」とつながっている。
わたしが響いた本の言葉はわたしの感情を揺さぶり、行動を起こす勇気をくれ、自分を変えるきっかけをくれるのだ。
ブログタイトルで「書評」という言葉を使わなかったのは、書を評価するなんておこがましいことはできないという自意識があったからだが、自分の感情を揺さぶられた本のことを書くのに、自分の感情を交えずに書くことができないからあえて「読書感想文」にしていたのかも、ともう一つの自意識に気づくことができた。
この読書感想文ブログを通して、わたしが感じたことを発信して、自分の中の問いを解消していきながら人生を変えていきたい。
そしてわたしと同世代の女性の人生を変える手助けをしたい。
本書を通して、自分のこんな野望が見えてきた。
これからは、この「半径5メートルの野望」を大事にし、こつこつ育てていきたい。
締めは決意のノンアルコールビールとともに。
また更新します。
