
夫が社宅に戻る日の前夜
俊が泣き出した
長男の俊は
涙もろくて
とてもナイーブ
良くも悪くも感受性が豊かで
胸がいっぱいになってしまうと
涙をぽろぽろこぼしながら
じっと耐える
一方の仁は
泣いている俊に
「パパ、まだおるやん。
帰るのは明日やで」
と、飄々と話しかける
この温度差(笑
夫は俊の涙に弱くて
おろおろしてるけど
こればかりはね、
どうしようもない
別れがつらいのはみんな一緒やけど
小さな子どもたちには
しんどいやろなと思う
大人のわたしだって
こんなに寂しいって思うんやから
あの小さな胸の中に
寂しさや悲しさや心細さを抱えて
耐えているんやなと思うと
わたしたちも胸が苦しくなる
子どもたちが寝てから
夫と話をした
「次に帰ってくるのは
冬のボーナスが出てからやろな
ここで農業しとったころは
稼ぐってことが
よくわかっていなかったんやなと思うわ
家族を養うって
わからんかった
俺が稼いだ金の大半を
家族で使う、
俺に残るのはほんの少しの小遣い
それの意味がわからんかった
そやけどな、
離れて働いてみて
毎月給料がもらえるやん?
しかもボーナス出るやん?
毎月ゆみの銀行に
振り込んどるけど
俺の生活費や小遣いは
自由につかってるやん
自由につかってもいいでって
言われても
最初のうちは嬉しかってん
そやけど
ある程度自由につかったらな
今度は俊や仁のために
つかいたいって
思うようになったん
不思議やろ
自分のためにつかっても
なんか物足りんのよな
ビール買うたり
マンガやゲーム買うたりするのは
楽しいんやけど
それくらいやと
小遣いが余る
それに俊と仁にゲームを
買うてあげたほうが
わくわくするねんな
養うって辛いやんと思ってたんやけど
最近は辛いと違ってな、
楽しいにかわってん
俺かわったなー思うねんな
すごいっしょ」
嫁いできた当時は
本当に子どものようだった夫
農業に身が入っていないことも
多々あったし
父さん母さんに甘えて
さぼっている時もあった
農業で得た収入から
お小遣いをもらって
その範囲で生活していたけど
どこかすねてた(笑
でも、子どもができたことや
親の庇護から離れて
会社に務めるようになって
社宅で独り暮らしを始めて
ほんまの“大人”であり
“親”にさせてもらったんやなと思う
子どもたちが夫のことを
“父親”に育ててくれたんやろなとも思う
夫の成長するためのトリガーが
親元を離れる事、就職すること、
だったんかもしれん
夫と話をしていると
時々、だれと話してるんか
わからんくなることがあって
それは頼もしい気持ちだったり
ほんの少し
うらやましい気持ちだったりもする
わたしも置いていかれんように
成長したいな、と思う
夫は短期間の帰省で
たくさんのことを教えてくれたし
いっぱい思い出をくれたし
子どもたちを笑顔にしてくれました
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スクスクのっぽくん


