先週報道され、現在東電のホームページに掲載されている賠償スキームをシミュレーションしてみました。特に住居の賠償に関しては、3つの方法から選べることとなっているため、実際に計算してみないとどの方法がいくらになるかはわからないものです。


ア)固定資産税評価額をもとに、築年数に応じて一定の定数をかける方法

  この方法は建物と宅地で適用され、宅地においてはこの方法のみで評価されます。


我が家における実質損害額に対する賠償割合は全損を仮定しても55.9%でした。我が家の実質損害額は土地建物の入手価格とその時のリフォームの実施価格を基にしています。(値引き交渉などの自助努力をした価格)

さらに、実際に賠償される予定の金額は居住制限区域であるため、この半分となります。



イ)新築価格をもとにして築年数を減価償却して賠償する方法

  この方法は建物においてのみ選択できます。


我が家における賠償割合は76.9%となりました。(宅地に関しては上記アの方法で算出)

さらに、居住制限地域であるため、実際の賠償額はこの半分となります。



ウ)実際の損害額を賠償する方法

  この方法は実際の損害額をどう決めるかが問題であり、さらに上記ア、イでは農地、山林の損害についてはまだ決まっておらず、比較ができないのが実状です。


我が家における損害額がすべて認められれば賠償割合は100%となりますが、居住制限地域のためその半分が賠償されることとなります。


しかし、多くの村民にとっては入手価格は不明であり、いったいどのくらいの割合が賠償されることになるかも分からないのが実態です。さらに、実際の金額は居住制限とか解除準備とか意味不明の規準によってその賠償金額を大きく削減されており、本当に生活の立て直しや被災者の救済に足りるのか疑問の残る指針です。さらに言えば何の落ち度もない住民の財物を棄損しておいて、避難の予定年数を勝手に決めて、賠償額を半分にするとか賠償金額を築年数によって減価償却するとかいう考え方は賠償の本来の意味を逸脱しています。建物についてもリフォームや保守をして何十年と維持してきたものです。それを固定資産税評価に則って築年数だけで減価償却することはあまりにも乱暴かと思います。


新築価格を基本として70%を減価償却の最低限にするくらいでなければ早急な生活再建は難しくなります。今のままでは後3年以上仮設暮らしをすることが前提の賠償になってしまいます。


政府も東電も賠償額を実際には押さえ込みながら、国民向けに配慮をしていることを喧伝するための姑息な選択肢提示と思われます。精神的に追い込まれている人にとっては藁にもすがる思いで、この賠償案に乗るしかありませんが、少なくとも農地、山林に関しても早急に賠償を確約し、その指針を出すことが必要です。それがなければこの住民を愚弄した3つの選択肢ですら選ぶことが難しいことになります。農地、山林について固定資産評価を持ち出すようであれば、政府の悪意がはっきりすることになりますので国民的関心、マスコミの方々の関心を高めておいていただきたいと思います。