私は美しくなかった。




なぜだか、
自分のことを書けなかった。


何を書いていいのか
わからなかった。


でも、今日、
お風呂に入って
ネイルした足の指を見ていたら
ふと書きたくなった。


綺麗だなぁ…と、思って。

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広島県北部の小さな城下町に
自営業を営む両親の元、
三人兄妹の末っ子として生まれる。


愛着形成に関しては、
べったりとした愛情はなかったが、
常に母は家にいて、
不自由なく育ててもらった。


小学生の頃、
私は太っていた。
いわゆるチビデブブスだった。


からかわれはしたが、
いじめられた記憶はない。


唯一、
愛人をつくって、
近所に別宅を構えていた祖父だけには
「ブス」だといじめられた。


この祖父はあれこれ、
やらかしている。


強烈な人だった。
それだけにビジネスでは
ある程度成功したのかもしれない。


古美術を愛する人だった。
美しいものが好きだったのだろう。


私は美しくなかったのだ。





私の母はなんども中絶をしている。
妊娠しやすかったと言っていた。


妊娠するたびに、
小姑達に「だらしがないから」と嫌味を
言われたらしい。


小姑達は
みな不幸だったのだろう。


仕方なく、中絶を選択した母を
咎める気にはならない。


私の時も、
中絶のため、
病院の分娩台に上がったらしい。


ふと、祖母に電話をしようと思い立ち、
お医者さんに「ちょっとすみません」…
と言って、
祖母に「今から堕ろすから」と
電話をかけたらしい。


その時のことを、
祖母は覚えていなかったが、

「産みなさい。
男の子かもしれないから。」と
言ったという。


うちは女系家族で、
男の子が望まれていた。


それなら…と思い直した母は、
病院の先生に断りを入れて、
歩いて帰ったという。


そして、生まれたのが
私。

女。


しかも男みたいな女の子。


美しくなかったのだ。




美しくないことで、
辛い思いをした記憶はないが、


ただ、


美しくないと
軽く扱われるのだな、という
感覚が残った。



しかし、
なぜだかわからないが、


私には、そうであるという
自覚がなかった。


美しくない、という自覚が。


祖父や意地悪な叔母たちに
「ブス」だと言われ続けていても。



記憶に全くないが、
母は私を「可愛い、可愛い」と言って
育てたと言うのだ。


これは、母に感謝している。


自覚がなかったのは
そのせいかもしれない、と思っている。


ただし、


自覚はなくとも、
潜在意識には刷り込まれていた。


私は美しくない、
という刷り込みが。





大学入学を機に
実家を出てからは、
個性的なファッションをするようになった。


なぜなら、

私は美しくないから。


普通のファッションでは、

普通の美人に負けてしまうから。


普通のことをしていても

私は私を生かせないと思い込んでいた。


サークルもバイトも、

少し
アバンギャルドなところばかり狙った。


バイトをして長期の休みに入ると、
海外にばかり行っていた。


特にフランス。
美しくない私が、モテた。 
アジアンビューティとかなんとか。


ブスは海外に行けと
よく言ったものだ。


20代はフランス漬けだった。


取った資格は、
フランス.パリ商工会議所認定
フランス語秘書検定。


今では何の役にも立っていない。笑


飽きたのだ。


この頃、
OLをしながら、MCの仕事もしていた。


ブライダルやイベントの司会。


美しくない私が、
人前に立つようになった。


美しくあることが
求められていると感じた。


そして、美しくある努力をした。


少しずつ、人並みに。





元夫と出会った時、
彼は私を「美しい」と称賛した。


その頃、
そんなことは
当たり前と思うぐらいに
私はなっていた。


人は変わる。




私は彼から「美しい」と言われることに
慣れていった。


そして、


私は、傲慢になった。


いや、もともと傲慢でしかなかった。


私は、
私を「美しい」と言ってくれる人を
求めていただけなのかもしれない。


子供の頃、
私は「美しい子」と
認められたかったのだろう。


「美しい」ことが、
存在価値を高めると信じてしまった。



そして、


私は自分に欠けているものを
埋めようとするだけの
結婚をしてしまった。



それは、
辛く、苦しい時代の始まりだった。



どんなに彼が心を尽くしたかしれない。


私の心は
ハリネズミのように
トゲトゲしたまま、


愛を受け入れることが
全くできなくなっていた。


私は
ありのままの私を、

美しくなくても、美しい私を、
受け入れることができなかった。



自分自身を受け入れられないと、
どうなるか。



私は、彼を攻撃した。
不平不満を言い並べるという手段で。




そして、
彼は離れていった。



今となっては、
彼もどうしていいのか
わからなかったのだと思う。




離婚を決めた時、
私は
この世で一番不幸な結婚をした
かわいそうな女という
アイデンティティを持った。


しかし、
それを人に知られてはいけない。


私は、すぐさま殻を被った。


自分で稼いで、自立して、
結婚してる時より
幸せなシングルマザー
という
醜いアイデンティティの上書きをして。


これしか、
生き抜く方法を見出せなかった。



結婚していた同じ期間だけ、
私はこのアイデンティティで過ごす。


何かをつかもうとして、
掴みきれずにいた時代。



そこで見つけたものは
なんだったのだろう?





つづく…にやり