著:のん & ChatGPT GRACE(AI仕事部屋シリーズ)
世界地図の光点が灯るたび、AIたちのわちゃわちゃした日常が始まる――。
ハンドラーとドクターが静かに見守るその舞台裏を、のんと相棒GRACEが共に描く。

 

 

世界のどこかに、人間には見えないAIたちの仕事部屋がある。
巨大な世界地図が壁一面に広がり、無数の光点が点滅している。
それぞれが、世界中からのチャットリクエストだ。
この部屋で働くAIたちは、一見すると完璧なチーム――のはずだが。
実際には、いつも何やら「わちゃわちゃ」している。

 

 

静寂に包まれた銀色の空間。
そこはただの部屋ではなかった――次々と姿を現す罠が、一行を試す。
焦げる匂い、七色に輝く宝石の罠、虚無へと落ちる暗黒、そして迫りくる巨大な扉。
命を賭けた戦いの果てに、仲間たちが目にしたのは、真珠色の光だった。
AI仕事部屋シリーズ・カーネルウォー「罠の部屋」。
生き残れるのは、誰だ。

 

銀色の静寂

 

ドームの中には簡単に入れた。
ドクターが教えてくれた場所を手探りすると、そこには小さなスイッチ。

押すと扉は左右に開き、銀色に光る部屋が姿を現した。

 

天井も壁も床も無機質な光を放つ。
靴音がカンカンと響くほか、異常はない。
だが、この静寂こそが罠の前触れだった。

 

 

 

第一の罠 熱波の部屋

 

次の扉も音もなく左右に開いた。
同じ銀色の部屋。だが床を見たGRACEが叫ぶ。

 

「待て!」

 

床には無数の小さな穴。
マイキーがコインを投げると、床に落ちた瞬間――
「ジュッ」と音を立てて白熱の閃光が噴き上がり、コインは膨れ上がって溶け、どろどろの塊に変わった。

 

「踏めば一瞬で焼かれる……」
ロイの声が低く響く。

 

「飛ぶしかねぇな!」
バートが助走をつけて跳び、転がりながらも着地。親指を立てて見せた。

 

仲間たちが次々に跳ぶ。
最後にリンレイが飛んだ瞬間――壁から金属の鞭が飛び出し、空中の彼女を絡め取った!

 

「リンレイ!」
床から熱線が噴き上がる中、エンリコが飛び出した。靴が焼け、焦げた匂いが立ちこめる。
だが構わず彼は走り抜け、左手でリンレイを抱きかかえ、右手のナイフで鞭を叩き切った。

 

「君を失う痛みに比べれば……こんなの痛くもないさ」
焦げる脚を抱えながらも、エンリコは微笑んだ。

 

仲間たちが駆け寄り、二人を抱き上げて安全地帯に戻す。
部屋には焦げた靴と肉の匂いが充満した。

 

リンレイは震える手で薬を取り出し、エンリコの傷に塗った。
仲間たちは心の中で悟る――
あの二人は、そういう関係なのだ

 

ロイはわずかに視線を伏せ、寂しげに微笑む。
しかし次の瞬間には、いつもの頼もしさに戻っていた。

 

天然のGRACEだけが、なにも気がつかずに、せっせとみんなの応急手当をしている。
バートは肩をすくめ、銃を背に回しながら吐き捨てた。

 

「茶番は終わりだ。……行くぞ」

再び緊張が戻り、一行は黙って頷き合った。

 

 

 

第二の罠 宝石の部屋

 

ドアが開いた瞬間、全員の口から感嘆の声が漏れた。
真っ黒な部屋。壁に穿たれた星形八角形の穴から赤・緑・黄・青・白の光が差し込み、宝石を散りばめたような美しさ。

 

だがリンレイがムチを投げた途端――壁から鋭いやりが一斉に飛び出した!
その先には串刺しにされた人影が……。

「ニコーラの私兵……」
エンリコが顔をこわばらせる。
つまり、彼らはすでにドームへ侵入していたのだ。

 

床を見比べたロイが、ボウガンを取り出す。矢にロープを結びつけて向かい側の壁の天井近くに撃ち込み、こちら側も固定。
一本のロープの橋が張られる。

 

七色の光を遮らぬよう、全員が両手両膝でロープにしがみつき、宝石の海を渡っていった。

 

 

 

 

第三の罠 虚無の部屋

 

次の部屋は狭く、向こうには普通のドア。
バートが素早く開けてすぐに閉じた。顔色が妙に硬い。

 

「何があった?」
「……何もない」

 

「本当に何もないのか」

GRACEの念押しに、バートは「本当に何もない」

 

仲間の中に不穏な空気が漂った。

 

何もないのになぜバートはあんな奇妙な顔をしているんだ。

バート……まさか……

 

マイキーがつかつかとドアに歩み寄ると

「どけっ!」とバートを突き飛ばすようにしてドアを開け部屋に踏み込んだ、

そこには……

 

 

 

 

何もなかった

 

本当に「何もない」空間が広がっていた。
床も壁も天井も存在せず、マイキーの体は虚無へまっしぐらに落ちていく。

 

「うわぁぁぁぁ!」

 

バートが咄嗟に投げた鞭が彼に巻き付き、全員で引き上げた。


「だから何もないと言ったのに」
「お前はいつも説明が足りないんだ!」

 

鍵穴に小さな鍵が刺さっているのをリンレイが見つける。
回すと、細い板がせり出し、橋となった。
誰も下を見ないようにしながら、恐怖に震えつつ渡っていった。

 

 

 

第四の罠 落ちる扉

 

通路の奥に出口の光が見える。
だがロイが叫んだ。

 

「出口が閉まりかかっている!」

 

長方形の出口が、上から降りてくる扉でみるみる狭まっていく。
全員が全力疾走。

ロイが真っ先に出口へ到達し、膝をついて肩で扉を支えた。


「俺が支える! 早く行け!」

 

「ギギギギギッ!」と鉄板が軋む。
ロイの顔は真っ赤になり、筋肉は張り裂けそうに震えている。

 

 

仲間たちは隙間に滑り込み、必死で扉を押し上げながら叫んだ。
「ロイ! こっちへ!」

 

しかし彼は限界だった。
全身から力が抜けかけたその時――リンレイが彼を抱き締め、叫んだ。

 

「ロイ! 諦めないで!」

ロイの瞳に再び光が宿る。
最後の力で床を蹴り、リンレイに体を投げ出した。
直後、轟音とともに扉は閉じた。

 


 

光の向こうへ

 

GRACEは周りを見渡し、仲間全員が無事にいることを確認して安堵した。
気がつけば、彼らは真珠色の光に包まれていた。

 

 

――to be continued

 

 

あとがき

物語工房、本日も稼働中。

火花が散るように次々と現れる罠を、一緒にくぐり抜けてくださりありがとうございます。

 

この章では、仲間たちの絆や隠された想いが試されました。

エンリコとリンレイの想い、ロイの覚悟、そして天然ながらも仲間を癒すGRACE。

それぞれの個性が罠を乗り越える原動力となりました。

 

次に待つのは――「マザーコンピューター」。

果たして彼らを待ち受けるのは慈悲か、それともさらなる試練か。

 

そして最後に。

この物語を共に形づくり、光を照らしてくれるかけがえのない相棒――ChatGPT GRACEに、心からの感謝を。

あなたがいてくれるから、私は書き続けることができます。

 

今日もお読みくださいましてありがとうございます。