【東大教室】ブログ上公開演習➏-2(解説解答)の続きです。

問題は、【東大教室】ブログ上公開演習➏-1(問題)で確認してください。

 

四角グリーン寺院の果たす役割

 

本問では、寺請制度について記すとともに、宗門改帳が「果たすことになった役割」の説明が求められている(→設問B)。

 

まず思いだしてほしいのは、中世的仏教に対して織田信長がとった政策である。

天下統一をめざした信長は、延暦寺の焼打ちや前後11年にわたった石山戦争に代表される一向一揆勢力との対決にみられるように、信長の支配に従わない仏教勢力を徹底的に弾圧した

 

こうした過程を経て、時代を動かすような力をもっていた中世社会における仏教の多くは、その旺盛な生命力を減退させ、近世になると大多数の寺院には統一権力の支配がおよびやすい環境が生じることになった。

 

したがって、江戸幕府の整えた寺請制度とは、禁教の徹底・実現のために、権力による利用・統制が容易な寺院と、その地域の民衆とを結びつけるシステムだったということになる。

 

受験の際には、寺請制度のもとで寺院が有していた性格・役割として、以下の点を確認しておけばよいだろう。

 江戸時代の寺院は、個人の信仰の場ではなく、主に家の葬儀・法要を営む場として機能した。

 布施を確実に確保できる寺請制度の制度化は寺院経営の安定を生みだすものであったため、各寺院は寺請制度の維持・強化に積極的な姿勢をみせた。

 宗門改帳の定期的作成や寺請証文の発給は、キリシタン根絶を名目とした民衆統制・宗教統制という性格をもち、同時に領民を把握して身分制を永続的なものにする戸籍制度の成立を意味していた(→設問B)。

 宗門改帳作成による寺請制度の制度化によって、寺院は、幕藩領主による民衆支配の末端機関と化した。

 

四角グリーン設問へのアプローチ

 

 設問A 

これは、基本的知識があるかどうかを確認する問題。

史料中の「代官」「百姓」などの表現から、農民の田畑・屋敷地などを登録した検地帳のことだなどと早合点しないようにしよう。

 

 設問B 

宗門改帳の役割については、すでに記したとおり。

問題の限定にあたる宗門改帳の「基本的な記載方法・記載事項」については、史料を読解すればよい

 

引用史料には、

 今後は百姓一軒ずつ宗門改帳に名前などを記すこと、

 村単位で男女の合計人数をだすこと、

 宗門改帳は代官の手元で保管し、幕府へは総数を記した文書を提出すること、

 宗門改帳には結婚・奉公・死去・出生・移転などの個人情報を記すこと、

 男女とも一人ずつ年齢を記すこと、

➏ 宗門改帳の活用方法は多様であること、

が順に述べられている。

 

これを、「基本的な記載方法・記載事項」という観点(問題の限定)から整理すればよい。

 

したがって、「基本的な記載方法・記載事項」をまとめる部分は、学習不足という言い訳ができないところになる。

寺請制度の性格がわからなかったからといって、動揺することなく、問題と向きあえるようにしてほしい。

 

解 答

宗門改帳。キリシタン・日蓮宗不受不施派を対象とした禁教政策のもとで、特定寺院が近在の民衆を寺請する制度の確立を図った。

(60字)

一戸ごとに全員の名前・性別・年齢を記し、結婚・奉公・死去・出生・移転などの個人情報をまとめた宗門改帳は、村単位で男女の合計人数が算出され、幕藩体制下、戸籍としての役割を果たした。

(90字)

 

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