存在が確認されていないのに、人間はなぜ龍を描き続けてきたのか。
さて。
神社仏閣の秘密を書いていたら、
結局ここへ戻ってきてしまいました。
龍です。
ということで今日から、
「龍の正体。」始めます。
これ、私にとってはかなり本丸です。
なぜなら私は、ずっと龍を描いてきたから。
しかも昔、
「あさひてらす」というWEBで、
龍について連載までしていました。
描くだけでは足りず、調べて書いていた。
どんだけ龍なんだ笑。
でも、調べれば調べるほど、
ひとつの疑問が大きくなりました。
そもそも龍って、何なんだ?
龍は、確認されている生物ではない。
ここがまず、ものすごく面白い。
虎なら、虎を見て描ける。
馬も、蛇も、鷲もいる。
でも龍は、少なくとも現在、
生物として存在が確認されているわけではありません。
なのに、ものすごく古い時代から、
人間は龍を形にしてきた。
中国では、龍を思わせる造形が古代の遺跡から見つかっています。
時代が進むにつれ、龍は雨や水、
天、権力などと結びつき、
特に中国では、五爪の龍が皇帝を象徴する存在にもなっていった。
そしてその龍の文化は、
仏教やさまざまな思想・文化とともに、
日本にも伝わってきます。
日本にももともと、蛇や水、
山や海など、自然に対する信仰がありました。
そこへ龍という存在が重なっていく。
だから龍は、単なる空想上の動物、だけでは説明しきれないほど、
たくさんの意味を背負っているんです。
そして龍は、姿さえ一定ではない。
蛇のような長い体。角。鱗。鋭い爪。大きな口。
いろいろな動物を組み合わせたような姿。
時代や地域によって、
その姿も変わっていきます。
つまり、誰かが一匹の龍を見て、
その姿を正確に写生した、という話ではない。
それなのに、「龍」というイメージは、
何千年もの時間を生き残った。
ここが私は、画家としてものすごく気になるんです。
私自身も、龍を「考えて」描いているだけではない。
龍を描くとき、最初から全部の形を決めているわけではありません。
描き始めると、こっちへ体が流れる。
ここで顔が振り向く。ここに爪が出る。
この龍は白だ。この龍は黒だ。
そんなふうに、途中から姿が出てくることがあります。
時々、私が龍を作っているというより、
すでにある何かを、拾い上げているような感覚になる。
もちろん、長年描いてきた経験や、
私の共感覚、無意識の記憶が、
そう感じさせている可能性もあります。
だから私は、「龍は絶対にいます」
とは言いません。
でも、「人間が全部適当に作っただけです」
とも、なぜか思えないんです。
もしかすると龍は「何か」を形にしたものなのではないか。
水の力。雲の動き。
雷。雨。川。海。蛇。
自然への畏れ。人間には制御できないもの。
そういうものを、昔の人たちは、
龍という姿にしたのではないか。
これは、私が絵を描いていることとも、
少し似ています。目には見えない感情や、
エネルギーのように感じるものを、
私は色や線にして描く。だったら昔の人たちも、
目には見えないけれど、
確かに感じていた「何か」を、
龍という形にしたのかもしれない。
そう考えると、私は猛烈に面白くなるんです。
龍が実在するのか、しないのか。
私は今のところ、そこだけに答えを出したいわけではありません。
それより、なぜ人類は、存在が確認されていない龍を、
これほど長い間、描き、祀り、語り継いできたのか。
そして、なぜ私は今も、
龍を描き続けているのか。
この9回で、歴史、美術、信仰、
そして私自身の体験から、
追いかけてみたいと思います。
ちなみに、龍を追いかけると、
必ずと言っていいほど、
あるものにぶつかります。
水です。雨。川。滝。海。雲。
なぜ龍は、
こんなにも水のそばにいるのか。
次回、そこから行きます。
いや、
「あさひてらす」で連載していた頃から、
また龍を掘り返す日が来るとは。
龍さん、
まだ私を離してくれないようです笑。
サロンではもっと深掘りしてお知らせしますのでぜひ
サロンの皆様お楽しみに。
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