優しい声 | 夏衣優綺の活字中毒

夏衣優綺の活字中毒

小説の感想や日常のつれづれをゆるりと発信するブログです☆

 

 

ここ半年ほど長編小説を書くのに夢中になっていて、

全然更新できていませんでした。

 

今日からまた再開します。

 

もしかしたらメッセージを下さっていたみなさま、

アメブロのメッセージ保存が2ヶ月までだったりするので、

読めずに返信が出来ていないかもしれません。

 

ログオンもしていませんでしたので、

もしそうだとしたらごめんなさい。

 

気が向きましたら、再送して頂けると嬉しいです。

 

 

 

数日前のこと。

 

ノートPCを数台買う必要が生じて、

東大阪にある中古ショップに出向きました。

 

初めて行くお店で、少し緊張しながら訪ねます。

 

「こんにちは~」

 

対応して下さったのは20代の若い女性。

 

とても丁寧な接客で、安心して要望を伝えることができました。

 

「えっと、1万円前後の中古で、画面は15インチで、キーボードが打ちやすくて、かつ、なるべく軽いやつが欲しいです」

 

なんともわがままな注文です。

 

それでも、お姉さんは一生懸命に見繕ってくれて、何台も見せてもらってから、最終的に満足のいくノートPCが見つかりました。

 

念のため、他にも大阪のショップを回ってから決めたかったので、その場ですぐに買わず、僕は一旦その店を後にします。

 

暑すぎる夏の日ーー。

 

陽射しもきつくて、歩くだけでへとへとです。

 

難波に出てから十以上のショップを回りましたが、結局、お姉さんが探してくれたのがベストだと分かりました。

 

 

翌日になり、改めて注文の電話を入れます。

 

「夏衣です。昨日はありがとうございました。見せて頂いたあのパソコンを買わせて欲しいんですけど」

 

「ありがとうございます。それではですね、振込先をお伝えしますので・・・」

 

それから、入金の段取りやこちらの住所、お届け希望日などを互いに確認していきました。

 

そのお姉さんとは実際に会っていますし、

もちろん僕の顔も見てもらったし、

こちらの印象は分かってもらっているはずです。

 

けれど・・・彼女の対応はひどく控えめで、それどころか、時に怯えさえ感じられるほどの口調でした。

 

それはそれは慎重に話すんです。

 

別に僕は、昨日の店内で横柄な態度を取っていたわけではありませんし、どちらかといえば、ずっとにこにこしていたつもりです。

 

ただ、スマホを耳に当てながら、彼女の気持ちが嫌になるほど分かりました。

 

きっとこれまでに、たくさんの理不尽なお客さんと出会ってきたに違いありません。

 

怖くて、居丈高で、厄介な多くの客たち。

 

何も悪くないのに電話口で怒鳴られ、項垂れて帰るという日も少なからずあったはず。

 

だからこそ、たとえ顔を見て話したことがある相手であっても、電話ではおそるおそる喋ってしまう。

 

僕も仕事で数え切れないほど味わってきた痛痒ですし、ひどく理解できました。

 
 
でも、彼女の声を聞きつつ、どこかで安心している自分がいました。
 
胸中に浮かぶ思い。
 
「この人は、痛みを知ってるんだな・・・」って。
 
気の毒なぐらいに気を遣って話すその声が、僕にはとても優しく聞こえて。
 
世の中には出会いたくない人が本当にたくさんいます。
 
だからこそ、たまにしか出会えない彼女みたいな人に癒やされる思いがします。
 
「あの・・・中古品ですので、傷があったりするかもしれないんですけど、えっと、その・・・できる限りの検品はしていますので・・・」
 
説明する彼女に、僕は何度も大丈夫だと伝えました。
 
こちらも中古品だと分かって買っているし、もしそれが見つかってもクレームなど入れないと。
 

 

彼女は今後もまた、客が急に怒り出したりしないか心配しながら、電話を受けていくのだと思います。
 
そしてそれは、僕だって同じです。
 
生きている限り、必要以上の警戒心で、安心感なんて微塵もない会話を、これからも続けていかなくてはなりません。
 
電話口の向こうにいる顔の見えない相手に怯えながら。
 
 

耳に聞こえてくる優しい声。

 
怒ったりしないし、怖がらないで欲しいと伝えたかった。
 
僕がどんなに安心して買い物ができたか伝えたかった。

 

通話を切ってから、いつも飲んでいるカフェラテを一杯淹れました。

 

それから寝るまでの時間を、安らいだ気持ちで過ごせたのは、カフェラテを飲んだからではありません。