ある日、老人がセンターにやって来た。
そして、中庭に有る、動物の慰霊碑に向かって手を合わせていた。

倉田は、長い間手を合わせている老人が気になり、話しかけてみた。
「こんにちは。動物達の為に祈ってくださりありがとうございます。僕も毎日手を合わせているんですよ。」

すると、老人は倉田を見上げ
「以前、此処から仔犬を譲り受けましてね」

倉田の表情が明るくなった。
「ありがとうございます!救って頂き、ありがとうございます。私たち職員にも凄く嬉しいお話です!」

老人は、優しい笑顔を浮かべ、ゆっくり話を続けた。
「あなたはセンターに長くお勤めですか?体は全部白くて、鼻だけ黒い片方の耳が折れている仔犬、覚えていますか?実は、その仔犬は、うちの家族が引き取りましてね。
でも母犬は殺処分されてしまったと伺い、どうしても此処で手を合わせ、母犬の魂に「仔犬は大切に最後まで飼うから心配しないように、安心して」と言いたくて、遅くなったけど、慰霊碑に報告に来た次第です。元気で大きくなりましたよ。幸多朗と書いてこうたろうって名前をつけました。」

倉田の目からは大粒の涙が溢れ出した。
ああ!幸せに!幸せになれた!家族になれたんだ!!!!あの子!幸せになれたんだ!
お礼を言いたくても、喉が詰まって声が出にくい。
「ありがとうございます。本当に、ありがとうございます。あの仔犬、覚えています。そして、母犬の事も」
と、何とか言葉に出来た。

老人は倉田の涙に少し驚きながらも続けた
「このセンターには、怪我で収容された飼い主の居ない動物や、沢山の元人間の家族として過ごしていたペット達が沢山運ばれて来るそうですね。動物は純真な心で生きている。澄んだ瞳を持っている。悪いことなんて、な~んにも考えちゃ居ない。それなのに、何故不要として処分されてしまうのか?愛くるしい動物の命を何故奪わなければならないのか? 辛いでしょう?」


倉田は、老人の言葉に、更に涙で顔をぐちゃぐちゃにしながら老人の隣に屈み
「実は、自分にはこの仕事は向いていない、辞めようかと悩んでいました」と心情を吐露した。

老人は、心情を察するかのように、再び優しい笑顔を向け
「あなたも随分辛い思いをしている。でもね、あなた達のような心のある人達が、この仕事をしないと、動物達も浮かばれないんじゃ有りませんか?無関心に機械的に処分されてしまう命では浮かばれない。無用な命として殺されてしまうのではなく、せめて心ある人間に、その子たちが生きてきた事を忘れず、居なくなることに涙し悲しみ、消されていく命の重みを感じ、来世は幸せになって欲しいと願われなければ、死ななければならなかった子達が可愛そうすぎるんじゃないかな?そうすれば、この仕事だって、やがては不要となる時が来るのではないでしょうか? いや、すみません。偉そうな事を言ってしまいました」

そう言うと、老人は優しい笑顔を見せながらゆっくりと立ち上がり、動物の慰霊碑と倉田に深く一礼し、センターの建物に向かって再度一礼をすると、ゆっくりとセンターの門を出て行った。

倉田は、帰って行く老人の背中が小さくなるまで、ずっと見つめていた。
そして、深く深呼吸をすると日課になっている、「動物達が普通に生きられる世の中になりますように」と空に向かって手を合わせ、センターの門を出た。

「仕事をやめるもんか。絶対に最後まで諦めない。この仕事が不要になるまで」そう心に誓いながら顔を上げた。


終わり


ねこけん里親会
詳しくは↓
http://nekokennerima.web.fc2.com/nekoken-home/yotuyanewpage1.html

日時 2013年 3月24日(日) 午後1時~午後5時

場所 東京都板橋区志村1-32-25

交通 都営三田線 志村坂上駅下車 徒歩約5分
スーパーサントクの前( コインパーキングあり)

他にも家族を待っている猫さん達が沢山参加します♪

※里親さんへのお願い
下記URLより、条件・契約書をご確認ください。
①終生飼育 ②完全室内飼養 ③不妊・去勢手術 ④医療費の負担 などの条件や、里親さんになっていただく手順などを記載しています。
http://hama-sush-jp.pro/naoofjapan/theme-10043762276.html


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