A380へは初めて乗る飛行機 だって名古屋に就航してないんだもん、なかなか乗る機会はない。だから今回チャンスだと思ってシンガポールまで行くことにしたのだが、こんな飛行機に乗りに行くだけの旅行に付き合ってくれる人間もそうそういないので、同じ飛行機マニアの同級生と行く予定だった。


ところが、そいつが体調不良で行かれなくなってしまったので、ひとりさびしくシンガポールくんだりまで出かけたのだ。


台風11号が九州南部に接近していた、8月9日土曜日、シンガポール独立記念日の未明、SQ672便としてシンガポール航空のA380-841(9V-SKH)は一路、中部国際空港へ向けてチャンギ国際空港を飛び立った。


R/W20Cを離陸したA380は低い高度で左旋回し東へ進路を取る。マラッカ海峡には多くの船が暗い海の上に星をちりばめたように浮かんでいる。2階席窓側の76Aの席に座った私の視界から、夜なお明るいシンガポールの街が左翼後方へ過ぎ去り見えなくなると、何もすることもないし、眠いし、ビールを一杯もらって眠る。


目覚めたのは台湾上空あたり、朝食のサービスが始まった。朝食は洋食をチョイス。仔牛のソーセージと卵料理、ハッシュポテト、フルーツ、パン。パンは温めてある。おいしい朝食だったナイフとフォーク


 出発時にキャプテンスピーキングで台風をさけて大回りして飛ぶので、今日は少し時間がかかると言っていたが、確かに通常とは違うルートを飛んでいる。


 普通、フィリピンあたりからまっすぐ紀伊半島へ向かうのだが、この日は台湾上空からずいぶんと西よりを飛んで、五島列島あたりで東へ機首を向け、佐世保、福岡、北九州の上空を通り、このまままっすぐ東へ行くのかと思いきや、いきなり美保の手前まで北上その後南西に機首を向け、大津、津を経て、中部国際空港へ南からアプローチ。


 2時間くらい前から揺れっぱなしで、ずいぶんスリリングなフライトだったが、高度を下げてもなかなか雲の下に出ない。これはダイバートかしらんと思う。


 ご存じの方も多いと思うが、6年前、日本に初就航したA380の初便、シンガポール航空の成田行きは成田空港天候不良のため、中部国際空港にダイバーとしたのである。今度は中部へのA380の初めての商業飛行が成田へダイバートなどということになったらシャレにならんな、などと考えていたら海が見えてきた。風はさほど強くなさそうだな、これなら降りるだろう。


 8月9日土曜日、午前8時22分。シンガポール航空672便は中部国際空港R/W36に静かに舞い降りた。