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カウンターには女の子が3人。

なぜか一番遠いあたしのカウンターへ来る尾崎さん。


や、やばい。



昨日の感触がみるみる蘇ってきて、

ワケもなく、ドキドキしてきた。


尾崎さんは、いつもと変わらぬ笑顔で

みんなに挨拶をする。


そして、あたしの方へ向き直り、


『アイスコーヒー。ブラックで。』


と、いつもと同じモノを注文する。


『は、はい。』


金額を言うまえに、

もう尾崎さんはお金を渡してきた。

なるべく目を合わせないように

お金を受け取る。

お釣りを渡そうとした時。


尾崎さんが、

カウンター越しにあたしの腕をグっと掴まえて、

自分のほうへ引き寄せる。


尾崎さんの顔と、あたしの顔が近づく。


そして、耳のすぐ近くで、囁いた。


『昨日はごめん。後で少し話そう。』



誰にも気づかれないように

すばやくそれだけ言って、

パっとあたしを離す。

そして、何事もなかったように

アイスコーヒーを片手に

事務所へ向かう尾崎さん。



尾崎さんが去ってしばらく経っても、

あたしは、ドキドキが止まらなかった。


後で話そう。

後で話そう。


心の中で何度も

リアルに繰り返される尾崎さんの言葉。


このドキドキ、何?


あの人は、理恵の好きな人なのに。


そして、あたしは・・・。

望月さんが好きなのに。


望月さんが、好き。


な、はずなのに・・・。


あたしは、すぐそばにいる望月さんの顔すら

まともに見ることが出来ないでいた。


続く

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