カラスミとシルクロード | 野人エッセイす

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森羅万象から見つめた食の本質とは

ボラの話が続いたがついでにカラスミも。そうでないと忘れてしまうくらい記憶力が悪い。

カラスミは日本三大珍味の一つ。他はウニとコノワタで海鼠腸と書く。つまりナマコの腸の塩漬けだ。ウニは誰が食べても美味しく人気がある。コノワタはまあマニアックだ。旨いと言うより珍味で、好き嫌いはあるだろう。普通の塩辛と違い、カツオの内臓で作った「酒盗」に好みがあるように。この中でもカラスミが味も価格も手間もそれなりのものだが、何故日本三大珍味になっているのか不可解な部分もある。カラスミは本来、日本の食文化ではなかった。地中海からシルクロードを通って中国へ入り、そこから遣唐使の時代に日本に伝わった。二股タラコみたいな形が墨をする当時の「すずり」に似ているところから「唐墨」つまりカラスミと呼ばれるようになった。カラスミはボラの卵巣と日本では決まっているが本来はそうではない。地中海ではマグロやスズキなど「魚の卵巣の塩漬け」をワインの肴にしていた。つまりそれなりに大きな魚の卵巣ならそれで良かったのだ。魚の卵を食べて味の違いのわかる人はいない。色んな魚の卵を煮たりして食べてきたが、タイもマグロもスズキもシイラもボラもタラもみな同じような味だ。鳥の卵がそうであるようにタマゴの時は皆同じような分子構造をしている。それから遺伝子によって様々な形が出来上がる。だから同じような味が当たり前なのだ。カズノコは独特の歯ごたえはあるが。フランスではカラスミのことをブタルグ、トルコではアブゴタラトン、イタリアではボッタルグと呼ばれている。毎年行われるボッタルグ祭にはイタリア各地から楽しみにした人達が集まり、自分の好みに合ったカラスミを買い求める。そして値段交渉に入るが日本ほど高くはなく7割程度だと思う。人気のある製品は値がはるだろうが。とにかくカラスミは元々、チーズと同じくワインにあった肴だったのだ。何も日本酒に限らない。トルコ経由でロシアに入ればウォッカだろう。世界中の人々が愛するカラスミをボラに限らずもっと他の魚で作ればよい。そうすれば正月前の秋に限らず一年中普及し、庶民の口にも入る。世界に誇る海洋民族の日本人に出来ないはずがない。カラスミを自分で作っていたが、豪快にスライスして丼ご飯にたっぷり乗せて「カラスミ茶漬け!」これがたまらなく旨い。同席した有名ホテルの料理長はカラスミの「価格」で物事を判断するから、「アワワ・・・」と目をひんむいてしまう。「俺はそんなもったいないこととても出来ん」とのたまう。いつも言っていることだが、「カラスミもキャビアもイクラもカズノコもタラコも同じ魚のタ・マ・ゴ! タラコ茶漬けと何ら変わりなく旨い!」そう豪語している。毎年東京から来る知人にワイナリーを持つ税理士さんがいて、お土産はいつも「キャビア」だった。「これはカスピ海産、これはイランの・・」とか、かなりこだわっていた。価格も小瓶が5千円、1万円と言う。それをまた丼メシに・・一瓶「パッカ~!」っと、豪快にかけてお茶漬けで食べるものだから後年は、「お茶漬け用の一番安いのにしたから・・・」と申し訳無さそうに持ってきていた。それでも一杯5千円のお茶漬けだ。食品の味を決して値段で判断することなどない。味は自分の舌で判断するものだ。食品のみならず、人間にも同じ事が言えるが、人を食べてはいけない。余分なものをそぎ落として裸にして判断すればいい。エッチ抜きで・・・