これからはキスの季節、十二月までバンバン釣れるがやはり初夏から夏にかけてが旨い。キスは海の女王と呼ばれるくらい美しい魚だ。清流の鮎にならぶ夏の風物魚で誰にでも釣れる身近な魚。しかし鮮度の良いキスは流通しないので、釣りをしない人にとっては天ぷらの食材でしかない。網で捕獲され、足が速い、つまり鮮度が落ちやすく、くたびれたものしか魚屋には並んでいない。キスを「生」で食べられるのは釣り人しかいないのが現状だ。当然お寿司屋さんでもなかなかお目にかかれない。活かして持ってきてくれと、こだわりの寿司屋によく頼まれた。知っている限り、キスが魚の中で一番調理がしやすく、初めての女性や子供でも簡単にウロコが落とせ、三枚におろせる。魚の中では一番ウロコを取り易く、内臓が少なくて綺麗で臭くなく、手にトゲが刺さらない「理想的」な魚なのだ。調理入門に一番適した魚とも言える。魚へんに喜ぶと書いてキス、字の如くだ。それくらいキスの「刺身」は綺麗に透き通り甘くて美味しい。薄い皮にも旨みがあり、そのまま食べられる。皮ごとスライスしてザル氷の上に並べた「キスの洗い」は誰が食べてもうなる絶品だ。大きなものは刺身、中物は天ぷら、小物はから揚げも良いが「ちらし寿司」が良い。面倒だがてんぷら用のように観音開きにして塩をあて酢でしめる。寿司飯に青シソをちらし、海老やタコを添えると「野人流キスのちらし寿司」の完成。並べ方のセンスは大雑把でお祭りみたいだが仕方ない。写真は1人前で、小キス10匹くらい使った豪華版、名づけて「キスだらけの人生」と言う。