食の本質と健康について、わかっているようで意外と気づかない足元の視点から見つめた野人のエッセイです。毎日口にする野菜、穀物、魚介、肉・・・人により理解度は異なっているようです。これだけ食の安全と健康問題が取り上げられ、商品添加物や食品表示に敏感な時代はありません。スーパーでの買い物の時間もおそらく長くなったことでしょう。家族全員の健康を預かるのだからそれなりに真剣になるのは当たり前。戦後 高度成長の時代を経てここまで豊かな暮らしが出来るようになりました。しかし振り返ることなく一気に走り続けたように思います。そろばんが電卓に、公衆電話が携帯へ、食事も電子レンジであっと言う間に・・これから誰も想像出来ない技術がさらに加速するでしょう。
「スローライフ」という言葉が生まれ、食を中心に原点に戻ろうとするライフスタイルが広がり、自然食、スローフード、無農薬野菜、有機野菜という言葉も頻繁に耳にするようになりましたが、果たして「有機」というものをどのように理解しているか、その解釈は人により曖昧で、考えた挙句一言で片付けられることが多いようです。
また 「自然」とは何かと聞かれても、やはり頭を悩ませそれぞれ違った答えが出てきます。子供達は親から学び、親が口にするほど「それ何?」と聞いて来ます。「空は何故青いの?海は?」「何故緑を大切にするの?」と、次から次へと・・「有機は自然の食べ物よ!」とか「空は元から青いの!」とか「葉っぱが空気作っちゃうの!」とか答えているのではないでしょうか。人は自分に興味があれば熱心に勉強しますが、そうでないものにはあまり関心がないようです。それぞれの環境で、それぞれの考え方が出来上がり、思考の同じ人はいません。これだけメディアが氾濫し、そこからいくらでも情報が入ります。しかしその本質を理解し判断するのは自分自身です。「それが普通」「そういうものだ」と言う言葉ほど不確かなものはありません。「食」というジャンルでも、その本質に気づかず、無駄な時間と労力を使っている人は多いように思います。無数にある加工食品はともかく、日常的に口に入れる野菜、魚、肉を中心にその本来の姿を正確に把握、ちゃんと説明できる人に会った事がありません。立派なマンションも基本的な構造計算の過ちで崩壊します。自然環境、エコ、食品、健康問題など理想に向かって突き進む前に自分の常識を見直し、その本質を知ることが大切だと思います。
子供の頃から海と山と川に恵まれて狩猟採取に明け暮れ、高校では受験勉強もせずに「男海女」のアルバイトに精を出し自活、大学では半自給自足、会社でも20年間 ダイバー、船長、フィッシングガイドなどの業務に携わり、会社を興してからもやはり海と山の自然に関わる仕事、そして今は一風変わった農業です。
農業は苦しいものではなく「楽しく365日収穫」が当たり前だと思っています。
自然界には丹精込めて育ててもらいたいと願う植物は存在しません。 野菜も植物、その本質は何ら変わることはありません。何故農業や漁業などの一次産業が衰退しつつあるのか、何故食料自給率が先進国の中では最低なのか、何故農業に肥料や農薬が必要なのか、何故農山村の集落は過疎化して故郷を捨てなければならなくなったのか・・・・それらを一考していただければ幸いです。
私自身は、環境問題、健康問題を改善、子供たちの飢餓を救えるのは食品を買い求める消費者の意識、食の本質を知ることだと信念を持っています。
海から川を上り山へと、そして農業・・・地球46億年の道のり・・生命の歴史をたどるような体験から発見した森羅万象の「成るべくして成る」と言う道理を面白可笑しく紹介していきます。目からウロコ・耳から尾ビレ・・・常識の壁を越えて役に立つことを願っています。
野人