瑠璃の海 | 書評無情の響きあり。

瑠璃の海

小池 真理子
瑠璃の海

・先日の日経新聞の書評欄でこちら がとりあげられていた

・喫茶店の隣の席で著者のコトが話題になっていた

そんなときに品川駅の書店でこの本を見掛け購入。



バス事故で夫を失った女性と同じく娘を失った作家の男性が

悲しみと孤独の淵という共通の境遇から互いに魅かれ合い、

その果てには、、、 というストーリーの作品。



読み進むにつれて 渡辺淳一著の「失楽園 」がほのかに

オーバーラップ、、、人間の「生」「死」と「永久の愛」という部分に大いに

共通項が感じられる。

(失楽園を読んだ方の殆どはそう思うであろう)

個人的には とかく しがらみが多く、ともすれば“俗”の集約である

日常の生活だが、これこそがまさに生きるということであり、そこに

こそ万物への愛情が生じるものだと思っているので、失楽園を

含めてこの結末には一種の憧れを含めた共感がある一方で

最終的には違和感を感じるところに落ち着く。


失楽園と違い“凛”とした作品に感じられるのは、

まさに著者の作風なのであろう、その点は新鮮であった。

また、物事はすべて偶然ではなく必然なのである という

一貫した姿勢が窺えるのは 運命論者の自身としては大いに共感。



失楽園を読んだのが約10年前であるから、

自身の感じる部分が微妙に違うのは当然であるが

一方で同一部分があるのもまたこれが自分という同一の人間な

故かと思う。

自分が何を大切にして生きていくか という壮大なテーマは

簡単に答えが見つからないのは確かであるが、それでも

自分にとっては何かを考えざるを得なくさせてくれる作品であった。