混沌 新・金融腐蝕列島&上・下 | 書評無情の響きあり。

混沌 新・金融腐蝕列島&上・下

  
高杉 良
混沌 新・金融腐蝕列島<上>
混沌 新・金融腐蝕列島<下>

経済小説の巨匠 高杉良 著。
映画化された 金融腐蝕列島 呪縛 の続編。
文庫本化されてたので購入。

長らく大蔵省の護送船団方式により守られてきた金融機関が
金融ビッグバンの本格化に伴い提携・再編を余儀無くされた。
本書はその時代の大手銀行同士の合併の裏側に潜む組織間の

権力闘争、サラリーマン社会を一人の銀行員の主人公を通じて
リアリティ溢れる内容で描いている。

Amazonのレビュー では酷評されているものの、
この小説の舞台となっている当時に 銀行員(本書にも登場する
合併メガバンクの一つに勤務)であったワタクシとしては、
その いかにも “銀行”といった 何とも言えぬカルチャーが
リアルに思い出され、昔(?)を懐かしむ意味でも面白かった。
(きっと“元”銀行員という立場でないといろんな意味で
面白く読めなかったであろう)。

しかし、いつもながらの著者の取材力は圧巻
経済小説の面白さはそれに基づいて成り立っていると言える。


本書とは直接関係は無いが、読み進めるにつれて

元ラグビー日本代表監督で三井住友銀行の取締役だった

宿沢広朗 (先日急逝)の言葉

「『私はサラリーマンが嫌だ』という人は多い。その理由は疲れる割に

自分の存在感が薄いことだろう。サラリーマンの醍醐味(だいごみ)は

『組織の長として自分の思うように組織を動かせる』ことに尽きる。

それを経験せずにサラリーマンを論ずることはできないと思う。」


が思い出された。 

率直に言うと、

サラリーマンの醍醐味としては宿沢氏の言葉に同感できる部分もあり、

そういう意味では本書に登場する各人の行動、発言は頷けるところ

ありか、、、。