介護度によって、どれくらいヘルパーを利用できるか。
具体的に点数制で、これは国が制定していることで、点数の割り振りなどは、それぞれの担当のケアマネージャーが決めていることだけれど、
本当に、現場を見て決めているのか首をひねることが多い。
「憎まれっ子世にはばかる」ってね。
やっぱり図々しい人が要領よく世間を跳梁跋扈しているのだ。
Hさん(おばあちゃん)は糖尿その他持病をお持ちで、
最近ではつかまり立ちもできなくなった。
年中こたつ兼ちゃぶ台に向かって座っている。
トイレに行くことができないから、ポータブルトイレを使用している。
手に届くところに置くのが理想なのかもしれないが、たとえ自分のものであっても、排泄物は排泄物。
その場で食事もするわけだから、少しでも離れた所に置きたいのが心情だ。
だから、六畳間の対角にHさんとポータブルトイレは位置している。
ポータブルトイレの周りには、目隠しのカーテンがかかっている。
立ち上がれない人が、どうやって移動するのか?
肘と膝をつかった、這い這いである。
肘と膝はずるずるで血がにじんでいる。
Hさん宅に、ヘルパーは週に三回、隔日で入っている。
生活援助の名目でも毎日入った方が、ワタシはいいと思う。
他のヘルパーもそう思ってる。
おそらくケアマネージャーも、個人的にはそう思ってる。と思いたい。
客観的に見て、多勢の人間がこう思うのになぜそうならないかと言うと、
Hさん宅には家族がいるからだ。
59歳。
無職。
独身。
趣味。競馬、パチンコ。
一人息子だ。
基本的に、家族の方が在宅だと、ワタシ達ヘルパーはお宅に上がってはいけない。
なのに毎回会う。
で、Hさんに作った食事をもそもそ食べて出かける。
毎回そうだから、Hさんの分が無くなっちゃいけないので多めに作る。
これは厳禁だ。
Hさんは七十九歳。
ボケてはいないから、介護を利用するにあたっての上記の条件も理解していて、そうやって息子が食事を済ませて外出する度にため息をつくのだ。
おそらく不仲なのだろうけど、親だよ!親!
血のにじんだ肘や膝をみてなんとも思わないのか。
ワタシはワタシのスーパーコンピューターを駆使し、なにかあて物になる様な、たとえばサポーター状のものはないかと黙考していると、
Hさんが這い這いし始めた。
「トイレ?」
と聞くと、
「ちゃうちゃう。え~と」
そう言いながら、押入れからビニール袋を引っ張り出した。
「これあげるわ」
見ると、中には小花柄のでっかいズロースが束になって入っていた。
新品だ。
「女の子はからだ冷やしたらあかん。ねえちゃんバイクやろ?」
あんなバカ息子のかわりに娘になりたいよ。