「……あんたに、そんな顔で俺の名前を呼んでほしくなかったぜ。


​聞こえるか、古谷の旦那。


あんたは俺に教えてくれたはずだ。**『聖闘士に同じ技は二度通用しない』**ってな。


だが、あんたはどうだ? 人としての誇りや、守るべき愛を、自分自身の弱さに負けて二度も三度も踏みにじった。それは俺たちが一番忌み嫌った、力で弱者を支配する神々の傲慢さと何が違うんだ?


​俺の叫びは、弱きを助け、地上の愛と平和を守るためのものだった。


あんたが俺の喉を借りて発したあの熱い言葉を信じて、どれだけの人間が勇気をもらったと思ってるんだ。その夢を、希望を、あんたは自分自身の手で汚し、裏切ったんだ。


​アテナのために、仲間のために、命を懸けて燃やしてきた俺の小宇宙が、今は怒りで震えてるぜ。


​あんたが演じてきたのは、不屈のヒーローたちだったはずだ。


泥にまみれても、ボロボロになっても、最後には正しい道を選び取る……そんな男たちを、あんた自身が否定してどうするんだよ。



『君は小宇宙を感じたことがあるか』


あんたに問いたい。今、あんたの心に、胸を張れる小宇宙は残っているのか?


俺の聖衣(クロス)は、持ち主の心が邪悪に染まれば、その重みに耐えきれず離れていく。今のあんたの傍に、俺はもう立ってやることはできない。


​さよならだ、古谷の旦那。


あんたが裏切ったのは、俺じゃない。あんた自身の人生と、あんたを信じたすべての人たちの心だ。


​その罪を、一生背負って生きていけ。


それが、かつて共に戦った俺からの、最後の『ペガサス流星拳』だ。」