本日の「FRIDAY デジタル」にこんな記事がありました。

 https://friday.kodansha.co.jp/article/475741

米国ではヘロインと同列の規制薬物に…不眠、頭痛、肩こりで処方「デパス」の危うさを医師が解説

(注意 この記事を読んだからといって、現在デパスを服用されている方、絶対に一気断薬などしないでください。依存性のある薬物ということは、離脱症状が出るくる可能性が大ということです。とんでもないことになりかねません。)

 

 以下、記事をまとめると……

 米国麻薬取締局(DEA)は今年、エチゾラム(日本の商品名デパス)を規制薬物のスケジュールⅠに指定しました。デパスの乱用や依存を重く見たためです。

スケジュール Iは米国の規制区分の中で最も厳しく、ヘロインやLSD、MDMAなども含まれています。

ちなみに、他の一般的なベンゾジアゼピン系薬物はアメリカの規制物質法(Controlled Substances Act: CSA)において、スケジュールIVに分類されています。(アメリカに持ち込み不可のフルニトラゼパムはその限りではありません。)

 米国で活躍する老年医学専門医の山田悠史医師がこう言っています。

「米国ではデパス(エチゾラム)は医薬品として承認されておらず、医師が治療目的で患者に処方することはできません。正規の医薬品流通の外で売買される違法薬物として扱われてきた経緯があります。認められた医療用途がなく、乱用や違法流通が問題となったため、最も厳しい規制区分に入ったということです」

 

少し引用します。

米国にもジアゼパムやロラゼパム、アルプラゾラムなど、医療用として承認されているベンゾジアゼピン系の薬剤はある。ただし、管理体制は日本よりはるかに厳しい。

 このシステムにより、患者が複数の医療機関から同じ薬を入手することを防ぎ、医師が不自然に大量の薬を処方することも阻止できるというわけだ。

山田医師。

「米国では患者も、処方する医師側も監視されるのです。規制薬物を出す以上、処方には責任が伴うという考え方が制度として組み込まれています」

 日本でもマイナ保険証や電子処方箋によって薬剤情報の共有は進んでいる。しかし、乱用や重複処方を積極的に防ぎ、医師の処方傾向まで検証する仕組みが出来上がっているとは言い難い。

 ただ、この記事を読んで「デパスは危険だから、今日から飲むのをやめよう」と自己判断するのは避けてほしい。長期間服用している患者が自己判断で急に服薬を中止すると、不眠、不安、動悸、発汗、震えなどの離脱症状が起こることがあるからだ。重症の場合は、けいれんなどを生じる可能性もある。

「減薬する場合は、主治医と相談し、状態を確認しながら少しずつ量を減らしていく必要があります。患者さんだけの問題ではなく、医師が患者さんと信頼関係を築き、不安に寄り添いながら、時間をかけて減薬を支援していくことが何より重要です」

 米国の厳しい規制が浮かび上がらせたのは、日本のベンゾジアゼピン系薬剤の処方のあり方や、安易な処方を容認してきた医療体制の課題だ。

「デパスに限ったことではありません。本当に必要な患者さんに、必要な量を、必要な期間だけ処方できているのか。より安全な選択肢があるにもかかわらず、過去の慣習のまま処方が続いていないかという点こそ、見直すべきだと思います。そのためには、医師一人ひとりが最新のエビデンスを学び続け、処方をアップデートしていく姿勢が何より重要だと思います」

 

引用以上

 

 これまでベンゾ系(デパスを含む)の処方に関する記事では、処方する医師の姿勢を正すものはあまり多くなかったように思います。こうした薬には依存があるので長期に飲まないように云々かんぬん……そんな感じで患者に呼びかけることが多かった。しかし、処方薬である以上、医師の処方姿勢も問題にすべきでした。

 その意味でこの記事は評価できます(こんなことで評価したいと思うのも、日本の認識がいかに低いかの現れでしょうが)。

 ともかく、デパスに限らず、依存性のある薬の処方には、「監視」が必要。

 日本もそろそろ医師に対する性善説を捨てた方がいいでしょう。

 

 そもそもデパスが日本で向精神薬に指定されたのは、つい最近(2016年)のことです。それまでは依存などどこ吹く風の一般薬としていくらでも気軽に処方できる薬だったのです。

アメリカのスケジュールⅠの扱いと大きな違いです。

 

デパスの歴史はざっと以下の通り。

①1983年9月に製造承認を獲得、1984年3月に吉富製薬(現在の田辺三菱製薬)から発売された。デパスは正確には、ベンゾではなく、ベンゾの構造を一部変えたチエノジアゼピン系の分類されています。

②1980年代〜2000年代

不安や不眠への効果に加え、強い筋弛緩作用をもつ点が特徴。このため精神科や心療内科だけでなく、整形外科での肩こり・腰痛、内科での緊張性頭痛など、幅広い診療科で手軽に処方されるようになった。発売後すぐに国内の抗不安薬市場で売上トップに躍り出ました。

③2000年代〜2010年代前半

即効性が高く効果を実感しやすい反面、作用時間が短いため効果が切れた際の不調を感じやすく、依存(常用量依存)や耐性が形成されやすいという問題が浮上。発売当初は「向精神薬」の指定を受けていなかったため処方日数制限がなく、過剰処方や長期服用が社会問題化しました。

④2016年〜現在

依存・乱用実態の調査結果を受け、2016年10月に厚生労働省により「麻薬及び向精神薬取締法」に基づく第三種向精神薬に指定。これにより1回の処方上限が原則30日までに制限され、海外持ち出しの制限や厳重な管理義務が課される。

 

それでもまだまだデパスは「便利な薬」として医師も患者も大好きな薬(かもしれません)。