精神科での虐待の実態が少しだけ数字として出てきました。

 22年の改正精神保健福祉法により、精神科病院の従事者による障害者虐待について、都道府県、指定都市に通報することが義務付けられています。義務付けられて初めての集計。

 結果は――

 全国の精神科病院で看護師や医師ら職員による患者への虐待が2024年度に260件ありました。

 260件? 

 いやもっと多いでしょう。これはおそらく氷山の一角です。

 加害者は看護師が最多で6割(202人)を占めました

虐待の種類としては、身体的な虐待が158件、心理的虐待が131件。

 今も必要のない長期の身体拘束や隔離が一部で行われています。

 

 精神科に入院経験のある人なら、多くの人が体験していることです。

 虐待が行われていても、それを虐待と認識すらせず、したがって周囲も見て見ぬふり。

 精神科における患者に人権はないに等しいです。

 

 こういう話は絶望的に気持ちにさせられます。

 偏見差別の温床は病院(医療従事者)にあります。いくら訴えても、ほとんど改善せず、同じようなことが繰り返されています。

 そもそも日本特有の「社会的入院」そのものが虐待です。

 いえいえ、治療そのものが虐待かもしれません。

 

 こうした被害に遭わないためには、まず安易に精神科を受診しないことです。

 もちろん受診して助かる人もいるでしょうし、助かったと思っている人は、おそらくこういう意見に「否」を唱えるでしょう。

 話は逸れますが『どうすればよかったか』という映画――両親が統合失調症と思われる長女を医療につなげることなく長期に家に閉じ込め続けた、その様子を弟である藤野知明監督がカメラで追ったドキュメンタリーーーその藤野監督がインタビューでこんなふうに言っていました。

「もっと早く医療につなげればよかった」と。エビリファイと思われる薬で改善した姉の姿を見ての弟の思い。したがって、「どうすればよかったか」という疑問符のタイトルをつけた映画の答えは、「もっと早く薬を飲ませればよかった」というひどく単純な結論に達しました。

 しかし、初期段階で医療につなげてどうなるか、わからないのが精神科医療です。医療につなげて、もっと悪くなっていたかもしれない……にもかかわらず、当事者家族の映画制作者が「もっと早く医療につなげればよかった」というメッセージを発することに、正直、危うさを感じます。

 そもそも「統合失調症」の診断そのものが「???」の世界です。したがって、薬物治療にも当然「???」がつきます。

 そのような治療の果てに入院となり、結果虐待を受け、トラウマを抱えることになり、精神的状況はさらに悪化していく……。

 安易な精神科への誘導は、決してよい結果を生むものばかりではないことを知ってほしいと思います。

 入院経験者の8割が虐待を受けたといいます。

 精神科への入院は虐待がつきものといってもいいくらいです。

 おそらく日本に限らない話でしょう(が、拘束、隔離の多さは断トツに日本が多く長いです)。

 人間の底に潜む偏見差別の感情。

 それは何をもってすればコントロールできるのでしょうか。