こんな記事がケアネットに上がっていました。

「日本におけるベンゾジアゼピン処方制限が向精神薬使用による自殺企図に及ぼす影響」

https://www.carenet.com/news/general/carenet/62188

公開日:2026/01/27

 

(引用)

ベンゾジアゼピン系薬剤の過剰摂取では、自殺企図が問題となる。日本では、2012年からベンゾジアゼピン系薬剤の多剤使用に対する政府の規制が開始された。その結果、ベンゾジアゼピン系薬剤の処方数と多剤使用数が減少した。帝京大学の赤羽 晃寿氏らは、この規制後、日本において向精神薬の過剰摂取による自殺企図が減少したかどうかを検証した。Neuropsychopharmacology Reports誌2025年12月号の報告。

 

 帝京大学医学部附属病院の高度救命救急センター集中治療室に入院した患者4,183例(2013年4月〜2015年3月の2年間、規制導入直後:第1期)および4,140例(2018年4月〜2020年3月の2年間、規制強化後:第2期)の診療記録から、それぞれ2年間の情報をレトロスペクティブに収集した。自殺企図、向精神薬の過剰投与、患者の臨床的特徴について両期間で比較を行った。

 

 主な結果は以下のとおり。

 

・向精神薬の過剰投与による自殺企図患者の割合は、第1期では4.1%であったのに対し、第2期では2.8%と有意な減少が認められた(p=0.004)。

・過剰投与群におけるジアゼパム換算の1日平均投与量は、第1期では32.0±33.3mgであったのに対し、第2期では25.6±30.0mgとなり、有意な減少が確認された(p=0.01)。

・ベンゾジアゼピン系薬剤の平均併用数においても、第1期の2.8±1.4から第2期の2.0±1.0へと有意な減少が認められた(p=0.0002)。

 

 著者らは「日本におけるベンゾジアゼピン系薬剤の多剤使用を抑制する政府の規制により、処方されたベンゾジアゼピン系薬剤の数と用量が減少し、処方された向精神薬の過量投与による自殺企図が減少したことが明らかとなった」としている。(引用以上)

 

 要するに、政府のベンゾ規制は大成功。自殺者数が減ったぜ! って感じの内容です。

 ここでいう規制というのは、ベンゾ系睡眠薬と抗不安薬をこれまでは無制限に処方できたものをまず3剤までとしたのを、2018年に2剤まで(それ以上の処方は減算になるという罰則で規制)としたものを指しています。

 確かにベンゾは脱抑制を起こすし、衝動性は高まるしで、自殺念慮に燃料をくわえる薬です。オーバードーズの元凶であるというわけで、だからベンゾを減らせば、ODによる自殺企図も減るのは、自然のことかもしれません。それをわざわざ研究して、裏付けたわけです。

 で、裏付けただけです。

つまり、ベンゾがそういう薬なら、今後の処方をどうすべきか、睡眠薬、抗不安薬それぞれ2剤まで処方できる(睡眠薬と抗不安薬両方を処方する場合は4剤以上が減算対象)今の規制をそのままにしておいていいのか。

この研究ではそこまでの見解を述ていませんが、今後、こちら側として規制を主張するとしたら、この研究を使うことができるかもしれません。

それと、剤数だけの問題ではないはずです。

処方期間と自殺との関連も調査されるべきと感じます。

あるいは、減薬時と自殺との関連も同様です。

 

ちなみに2025年の国内自殺者の数字が先日発表されました。

2025年の自殺者数は、前年から1223人減少し、19,097人。これは1978年の統計開始以来、初めて2万人を下回った数字だそうです。

一方で、小中高生の自殺者数は532人で、前年より3人増加し、過去最多を更新です。

上記の研究を当てはめれば(もちろん自殺の背景にはさまざま問題が絡んでいますが)、子どもへのベンゾ処方が増加しているから、と言えないこともないわけです。

もちろん、子どもの自殺はこの研究が述べている向精神薬のODではありませんが、衝動性を高めて、自殺念慮の背中を押すという意味では、子どもへの精神薬の処方増加が子どもの自殺者数増加の背景にあることは確かだろうと思います。