「本当は嫌だったはずなのに、
嫌だったかどうか分からない」
「悲しかったはずなのに、
思い出すと何も感じない」
このような声を、
相談の現場で聞くことがあります。
それは、長い時間をかけて
自分を守るために身につけてきた
心の防衛反応なのです。
人は幼い頃、思考と感情がまだ
分かれていなかったのですね。
嬉しい時は嬉しい、
悲しい時は悲しい…
そのまま感じて、
そのまま表現していた。
けれど成長の過程で、
「それをすると怒られる」
「そんな顔をすると悲しませる」
という体験を重ねるうちに、
感情よりも“正解の行動”を
優先するようになってしまうのです。
その積み重ねが続くと、
心の中では次のような変化が起きていきます。
・思考と感情が少しずつ離れていく
・感情を感じる回路が鈍くなっていく
・自分の望みが分からなくなる
これは壊れている状態ではなく、
守り続けてきた結果なのですね。
やがて潜在意識は、
「もう傷つかないためのブレーキ」を
持つようになります。
頭では「こうしたい」と思っていても、
体が動かなかったり、
理由の分からない違和感が
出たりすることがあります。
それは、過去に抑え込んできた感情が、
これ以上無理をしないようにと、
反応している状態。
また、叶わなかった欲求については、
「望んでいなかったことにする」
「むしろ嫌いだったことにする」
という反転する形で
整理しようとすることもあります。
そうすることで、
心はバランスを保ってきたのですね…。
もし今、
自分の気持ちが分からない
誰かの甘えや感情表現に強く反応してしまう
そんな状態があるとしたら、
それは責める必要はなく、
自己理解をしていくテーマ
なのかもしれません。
心はずっと、
生き延びるために工夫をしてきました。
これからは、その仕組みを
少しずつ知っていくことで、
選び直せる未来がやってきます。
今のあなたは、
どんな感情を
“分からないまま”に
してきたでしょうか。
すぐに答えが出なくても、
問いとして持ってみることから始まりますよ。


