シンガポール脱出
アリステア・マクリーン 1958年
ハヤカワ文庫 昭和52年
1942年2月、大東亜共栄圏樹立のために次々とアジアに覇を唱える大日本帝国陸海軍はシンガポールに猛攻を起こし、街はもはや陥落寸前だった。
辛くも最終船として埠頭を離れた、元密貿易船かつ海賊船であり、イギリス軍に接収されたケリー・ダンサー号は、少数の疲れ切った兵士の一群、数名の看護婦や民間人(その中には孤児となった2歳の男の子も含まれていた)、そして連合軍と英国にとって、今後の戦局を左右しかねない機密書類を携えた年老いた准将がいた。
嵐の海で沈み行くケリー・ダンサー号からそれらの人々を救助、アシモフ収容した大型タンカーヴィローマ号の一等航海士ニコルソンたちは、しかし日本軍の偵察機に発見され、その後零戦と潜水艦による攻撃を受けて、ついに沈没してしまい、9枚ボートに乗り込み決死の航海を続ける。
しかし彼らの中には情報を漏えいする敵のスパイが混じっていた。
錯綜するプロットと、息詰まるサスペンスの中、彼らは窮地を脱出することができるか⁉️
「女王陛下のユリシーズ号」で華々しく冒険小説界にデビューし、次作の「ナヴァロンの要塞」と、その映画化のさらなる大ヒットで、その地位を不動のものにしたアリステア・マクリーンの第3作目も、同じ第二次世界大戦の海を舞台にしている。
第1作が厳寒の北海、第2作目は紺碧のエーゲ海が舞台だったが、一転して灼熱のジャワ海が舞台だが、いずれも海の男たちの誇りと苦闘を描いている。
前2作に比べて、民間人、ことに女性が登場し、その存在を描かれるのが特徴的だったし、冒頭から様々な人物が登場し、主人公が誰なのか?がよくわからなかった。
太平洋戦争(大東亜戦争)を描いた小説では、主にアメリカと日本の闘いとして描かれることが多いが、イギリス側から見た敵国日本という観点も新鮮ではあった。
群像劇になってしまい、個々人の描き分けが上手く働いていないと感じるところも多々見られた。





