2025年10月25日

 

 

 

霧雨の中、彼の幼馴染の葬儀へ。

癌で闘病1年弱で他界。

 

葬儀案内のカードには、「希望する方は、花は裸のまま1輪だけにしてください」とあった。

幼馴染の性格をよく知る彼は、何故この一文が添えられていたのかを理解し、花はあえて持参しないと。

 

 

会場となったのは、広大な墓地兼森林公園。
ここには、第一次二次世界大戦などの戦没者が眠っている。
火葬場も同じ敷地内にあるらしい。
 
雨風が強まる中、車を停めて歩くこと10分。
集合場所となったのは、今は恐らく使用されていない歴史ある豪邸の前。
20分ほど早く到着したが、まだ誰もいなかった。
 

 
強風と冷たい雨を避けるため、建物の陰に隠れるようにして待つことにした。
建物前には、鳥の一家がトコトコと歩いていた。
 

 
森林の紅葉を愛でながら、人が集まってくるのを待つ私たち。
この辺りは、落ち葉の方が多かったかな…。
 

 
無宗教だった故人が、病床で計画した葬儀。
それは、森林葬。
 
数日前に、火葬は済んでいたらしく、土に還りやすい材質の骨壺が運ばれてきた。
悪天候のため、豪邸の屋根のある表ポーチにて、式を行うことになり、階段を上がるよう指示があった。
 
奥さんが幼い子供二人を連れて到着。
故人のご両親や、親戚、友人達が次々と到着した。
 
花を1輪剥き出しで持参していた人が殆どの中、幼馴染の彼ともう一人、故人の身内は花はなし。
葬儀の進行内容も、故人が生前準備したチェックリスト通りだとのこと。
 
式は短くして終わった。
 
お墓はない。
指標となる木もない、故人が『穴』と呼ぶ場所への『サイレントマーチ』。
 
到着した場所だけ、樹木が植えられていない広場。
その反対側には、樹木。
 
 
土の広場に入るところ一箇所にあった合同献花台。
沢山の花束が載せられていた。
 
墓地管理者が来て、準備されていた穴に案内された。
まずはご遺族が骨壺を穴に入れ、参列者が一人ひとりお別れをする。
 
お別れをする際に、故人の思い出の曲リストと、それらをまとめてあるサイトのアドレスが渡された。
どうやら、これも故人の希望。
葬儀に長い時間をかけないようにということらしい。
 
参列者全員の最後の別れが終わり、ご遺族が骨壺に土をかけていく。
小さな子供達に、進行役の女性が目線の高さを合わせて、状況を説明していた。
 
葬儀の間、雨足は強まり、寒かった。
会場を後にし、駐車場へ向かう時に見えた紅葉。
 

 

ここは、川も流れていて、自然に囲まれた静かな場所。

並木道をまっすぐ歩いて出口へ向かう途中、雨が一瞬上がり、太陽が顔を出した。

まるで、故人が「来てくれてありがとう」とでも言ったかのような瞬間だった。


 

公園を出ると、そこは真逆の世界。

路面電車が車の脇を走り、歩行者は自転車に気を付けながら歩く。

 

なんだか、少し前まで昼の夢の中にいたような…。