前回までのお話はこちら
実を言うと、ドミトリーデビューは
間違って予約をしたのがきっかけでした。
それは京都で
1人暮らしをしていた頃のこと。
東京で学びをするために月1回、
関東へ出張に行くことになりました、仕事も兼ねて。
宿泊施設をネットで検索していたら
「わ、なんて格安!ここにしよう!」
と言う宿を見つけ、早速予約。
しかし当日
現地を訪れてみると…
おや?何か様子がおかしい
え?壁づたいに、2段ベッドがいっぱいある…
…わ!ビジネスホテルじゃなかった!
という、ゴーン!な、展開。
サイトをよく見ていなかった私です。
なるほど、格安なわけだ…と納得しました。
場所は、横浜元町。
はい、今暮らしている地域です。
4階の店舗に、エレベーターはなし。
大きなスーツケースを抱え
急な階段を登り降りしたのが懐かしいです。
地下鉄、元町・中華街駅に向かう途中
スタバがあって。
毎朝、横目にしていました。
「オシャレだな…」
そう思いながら、
あの頃は一度も入りませんでしたが。
元々、生まれ故郷がこのあたりで
元町も、山下公園も、中華街も何もかも
胸を突く郷愁でいっぱいでした。
ただ、横浜に降り立つだけで
幸せな気持ちが溢れてくる。
間違って取ってしまったドミトリー。
繊細気質な自分が
意外と順応できたことも驚きで。
本気で学びたい、仕事もしたい、と
闘志を燃やしていると
能力は授けられるものだ、と実感していました。
それからと言うもの
毎月の関東出張はドミトリーを活用するように。
そして横浜元町以外にも
東京に系列店舗があると知り
アクセスの面からも
東京ドミトリーが定宿になりました。
毎月10日前後、1年5ヶ月、
東京と京都を行ったり来たり。
スーツケースを
転がしながらわかったことは
人はこんなに少ない荷物でも
宿があれば生きていける、と言うこと。
その事実に、心が自由になって行きました。
やがて、家も家財も手放し
バックパッカーになり
仕事に全力投球する日々。
とても濃く、眩しい毎日でしたが
気持ちや体調にも、少しずつ変化が訪れ…
6回にわたるシリーズで書いた通り
今に至ります。
だんだんと
「ずっとここにいるのは、違う」
と言う気持ちが出てきたこと。
それでもあの場所は
「ここにいてもいいよ」と
そっと私を置いてくれた、
愛おしい場所であることに、変わりはありません。
東京の片隅の
カラスとネズミ、
夜更けと明け方の喧騒も
同じこの空の下の出来事
駆け抜けた、
見たこともない、美しい景色もあった。
悲しい記憶や
怒りと恐怖に震えた日々もあった。
指先が冷たくなる感覚は
なかったことにしなくてもいい。
ただ、私から先に忘れてもいい。
先に忘れて、これからの全てを甘受したい。
そして、両手から
惜しみなく差し出せる人でありたい。
還ってきたこの場所で
そう言う日々を
紡いでいきたいと思うのです。
私の内にある静けさと穏やかさが
温かい世界の始まりだから。
これまで出会ってくれた全ての人に、ありがとう。
そして、これから出会ってくれるあなたに、ありがとう。
ここまで読んでくださって、
ありがとうございます。
もしこのお話のどこかに、
ご自身の気持ちや
これまでの歩みが重なった方がいたら。
きっと今、
「変わりたい」だけではなく
「もう少し深く、自分と向き合いたい」
そんな感覚があるのかもしれません。
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