3月。博楼高校卒業式。
体育館の壇上では校長の舘脇が卒業生ひとりひとりに卒業証書を。
神代、
「さすがは校長、どうみても、様になってるわよね~~。」
「渋さもあれだけ徹底していると、もはや、憧れになっちゃうかしらねぇ。」
兼高。
岬、そんな兼高の声に、
「おや、兼高先生、素敵なフレーズ。」
犬養、
「ともかく、何とか、ひとりの欠席者も出さずに、卒業式。ふぅ~~。」
鶴来、
「うんうんうん。それが何よりよ~~。ギリギリセーフ。」
博楼高校、一時は欠席者も致し方なし。と、危ぶまれたのではあるが、動きが早かった。
2月も前半が終わるか…、の状況でのインフルエンザでの欠席者。
とにかく、卒業式を優先したのであった。
インフルエンザ関連の書面を作成して全生徒よりその家族に。
仮に37度5分以上の発熱の場合は学校を休む事の徹底。
それは、その生徒のみならずも、他の生徒に至るまでのケアとして…。
その甲斐あって、3月の初めには全校生徒、欠席者なし。
晴れ晴れとしている卒業生。壇上で校長の舘脇から卒業証書を受け取っている。
そんな卒業生たちを見守るように在校生。
芙美花、景織子、千愛、詩乃。いつまでも壇上を見つめている。
…そして…。
「終わったか~~~。」
千愛。
詩乃、
「ん~~~。天気もいいし~~。」
芙美花、
「だよね~~~。あ~~~。来年は私たち~~。」
景織子、
「あと、一年か~~~。でも、あっという間かも。」
千愛、
「うんうんうん。…って言うか~~。受験勉強…、嫌だ~~~。」
「ははは。確かにね~~。」
景織子。
「まっ。でも、仕方がないじゃあ~、ないの。将来の為に。自分の為に。」
そんな景織子に詩乃、
「景織子はいいよ~~。楽々受験~~。」
景織子、詩乃に、
「もぅ~~。そういう事、言わない~~。」
千愛、芙美花、
「キャハハハハハハ。」
耀司、麻沙美と一緒にヨシカワからの帰宅。
いつもながらバセットが玄関までのお迎え。
「ただいま、バセット~~。」
そして、バセットが定位置に収まる。と、同時に、麻沙美もバセットにダイブするように。
そして…。汐梨が…。
「ただいま~~。」
麻沙美とバセット。
「おかえり、ママ。」
「ワン。」
一仕事片付けての耀司、リビングに。
「おぅ~~。おかえり。」
キッチンの汐梨、
「うん。はい、ただいま~~。芙美花は今日、友達とって、言ってたよね~~。」
「あぁ。卒業式だからね~~。」
「いやいやいや。でも、凄いよね~~。あんな風になるなんて。」
そんな汐梨の声に耀司、
「うん…???…あぁ。君の街へと。」
汐梨、数回の頷き、
「うんうんうん。CD出ないのかな~~。」
耀司、いきなり、
「かかかかかか。出る訳ないでしょ。プロじゃないんだから~~。」
そこまで言って、
「まっ。メンバーたちがそれぞれ、自費でって言うんなら、話は別だけど。」
「…って言うかさ、兄さん。自分の奥さんになる人が編曲した曲だよ。しかも、これからも、それ、続くんだよ。」
耀司、
「まっ。そりゃそうだけどさ~~。メンバーたちからも、睦美さんからも、そういうの、言われてないし~~。」
「芙美花なんか、滅茶苦茶気に入ってるみたいだけど~~。」
「…んな事、俺に言われても~~。」
話は、ココルキーの事である。
2月の二週くらいに、睦美と望月がココルキーに自分たちの演奏を披露した際に、
望月が作曲した曲に睦美がアレンジ。
作詞を担当している神林が、自身で、「自然に言葉が浮かんでくる。」とは言っていたのだが…。
確かに。すぐに作詞は完成した。しかも、一晩で。で、ある。
…ところが、曲に合わせて歌ったデモテープを、妻に聞かせたのだが。
ここで、「ダメ出し」が、出たのである。
「女性が作って、女性がアレンジした曲だよ。今までにない発想の曲だよ。もっと考えて~~。」
結局、妻からOKサインが出たのがそれから2週間後。
それまでは、ダメ出しのオンパレードであったらしい。
一方、その頃…。
芙美花から、ママになって欲しいと言われて返事をした睦美。
リビングに下りて、耀司に。
「全部、食べてくれた。」
耀司、ニッコリと。
「おぅ~~~。」
食器を洗って、片づけて。
コーヒーを飲んでいる耀司に。
椅子に座っての睦美。
「芙美花さんから…、ママになって欲しいって、言われた。分かったって答えた。…芙美花さん、泣いてくれて。」
耀司、納得したような顔で、
「そっか~~~。」
そして、睦美に、
「睦美さん。」
目を閉じて、開いて、ゆっくりとした口調で、
「ありがとう。」
睦美も嬉しさの表情で、
「ありがとうと言いたいのは私です。耀司さんと汐梨さん、私を変えてくれたから。」
その声に耀司、
「え…???」

ママでいい…。 vol,320. 「ありがとうと言いたいのは私です。耀司さんと汐梨さん、私を変えてくれたから。」
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