帰宅しての耀司。スマホで…。5回のコールで相手が出る。
「はい、私…。」
汐梨である。
耀司、
「芙美花、今、帰って来た~~。受診終了~~。」
「あん、了解……ぃ。私は最寄りのクリニック……。内科小児科があるからね……。万が一の麻沙美もここだし……。」
「おぅ、分かった~~。…それにしても、さすがに酷いな、その声。」
汐梨、スマホら、
「仕方がないでしょ。ううん。」
耀司、スマホに、
「ま、確かにね~~。…かかかかか。それにしても、病院、30分程度で終わったよ。」
スマホから汐梨、
「うっそ………。コホッ。」
「いやいやいや。」
耀司。
「受付で、宮前から聞いてますって。そうしたら、今度は診察室で、医師と看護師から高井戸君の旦那様とお嬢さんって言われてお辞儀までされちゃって。」
汐梨、
「うそ。マジ…???…わ~~お。」
「待ち時間、凡そ10分、掛かんなかったし、会計も早くて、こっちが驚いた。」
「凄いよね~~。…で…???…結局は芙美花、インフル。」
耀司、
「あぁ。」
「今、芙美花。」
「部屋で休んでる。処方してもらった薬飲んで。防寒着バッチリで行ったからね~~。ニット帽とダウンジャケット。その上にマフラーだから。そしてマスクして手袋。」
「うんうんうん。…でも、ごめんね~~。私、この1週間は、そっち。」
耀司、その声に、
「あぁ。分かってる。」
「睦美さんに、迷惑掛かるけどさ~~。この際。頼れる。」
「汐梨~~。」
瞬間、汐梨、瞬きをしながら顔を傾げて、
「うん…???」
「……。多分…、睦美さん。俺が言わなくとも、来るよ。…来るなと言われても、来ます。…なんて言ってる人だから。…それに…。迷惑だなんて、思ってませんって、言うよ、睦美さん。…じゃなかったら、あんなに食材、買い込んで、しかも、芙美花のためにも食べられるもの。」
スマホから汐梨の声、
「うんうん。」
「でさ。」
耀司。
「さっき、薬局を出てから、師長に電話したんだ。」
汐梨、
「うん。」
「で、芙美花にスマホ渡したらさ。」
「うん。」
耀司、自室の椅子に座りながら、
「やられたよ。」
その声に汐梨、僅かに顔を傾げて、
「やられた…???」
「芙美花、泣きながら、師長に…。」
その時の事を汐梨に話す耀司。
話を聞いて汐梨、
「…兄さん。」
「あぁ。…娘に、そんな風に言われたら。なぁ~~~。」
「…兄さん。」
耀司、スマホに、
「うん…???」
汐梨の声、
「余程だよ。芙美花。」
一拍置いて、
「体が弱っている時の気持ちって、それだけ余程の事なのよ。」
「感じたね~~。…俺、ほんとに…、仕事以外に…。まっ。機会や電気は得意だけど…。家の事なんて…。まっ。確かに。」
語尾を強めて、
「頭の中では何とかなる。なんて、他人事みたいに言ってたけど…。娘が、風邪を引いただけでパニクッてるんだから。…痛感させられたよ。とにかく、何にも出来ない。」
「…まっ。いいんじゃない…???」
汐梨。
「…って言うか、コホッ。宮前さんに言ったって事は~~。」
耀司、
「あぁ。決めた事だ。」
「うん。ありがと。」
「どういたしまして。」
遠くから、
「木守さ~~ん。木守汐梨さ~~ん。」
汐梨、
「あ、はい。」
そして、スマホに、
「じゃあ。」
「おぅ。分かった。」
通話は切れる。
汐梨、ベンチから立ち上がり、
「ふぅ~~~。」
そして、自分に、
「ヨシ。」
午後からは耀司、ひとりで…。せっせと。トイレ掃除からお風呂掃除。
「…こんな…、感じで…。」
顔を傾げながらも…。
そして。洗濯物を…。
「こんな感じで…。」
そして、自室にて仕事。
夕方前に、スマホに着電。詩乃の母からである。
丁度、氷枕の氷を交換の途中。
スマホに耀司、
「えぇ。え~~。はい。そうですね~~。ウチの芙美花も、午前中に。」
玄関のチャイム。
いきなり耀司、
「わっ。とっとっと。」
スマホから、
「高井戸さん、どうしました…???」
バセットがいきなり玄関の方に。
耀司、スマホに、
「かかかかか。氷枕に水入れ過ぎて。」
玄関でバセットが、
「ワン。」
ドアが開いて、睦美、バセットにニッコリと。
「バセット~~。」
バセットいきなり2本立ちになり睦美に抱き着くように。
睦美、
「はははは。こんにちは~~。」
耀司、左肩にはスマホで話しながら。そして両手で氷枕を持って。
玄関の睦美に両眉を上下に。
すぐさま睦美、シューズを脱いで、買い物袋をフロアに。
耀司から氷枕を。
耀司、そのまま氷枕を睦美に預けて。
睦美、階段を。
耀司、スマホに、
「あ、はい。えぇ。分かります、分かります。」
フロアに置かれた買い物袋を持ってリビングに。
睦美、ドアをノックして、
「お邪魔しま~~す。」
芙美花は寝ている。
睦美、
「ちょっと、ごめんね~~。」
氷枕を芙美花の頭の下に。テーブルにある薬と体温計を見てコクリと。
「病院、行ったんだ。うん。」
そして芙美花に、
「熱、測るね~~。」

ママでいい…。 vol,316. 「睦美さん。俺が言わなくとも、来るよ。…来るなと言われても、来ます。」
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庄司紗千 つつじヶ丘の坂道で…。
※ご本人の承認の下、紹介させて頂いております。
