耀司、スマホを耳に。相手は芙美花。
「あん。いきなりだったから。おとうさんもびっくりして…。」
芙美花、ソファに座ったままで、クッションを抱きながら、
「で…、警察って。」
耀司、
「あん。実は。そん時、おとうさん、自然に体が動いてさ。」
瞬間、睦美、耀司を見て、
「ぷっ。」
ニッコリ。
耀司、
「男を。…その…。」
瞬間、睦美を見て、鼻を右人差し指でなぞるように、
「投げ飛ばしてた。」
芙美花、咄嗟に眉間に皺を。
「投げ飛ばしてた…???」
すると…。一気に顔が明るく。そして、
「あは。投げ飛ばしてた。もしかして、柔道~~。」
耀司、その声に、
「あぁ。」
すると…。睦美がしっかりと。
「背負い投げです。」
芙美花、
「うん…???…今、睦美さんの声…???」
耀司、
「あぁ。」
チラリと睦美を見て。またスマホに。
「まっ。背負い投げだかなんだか知んないけど。とにかく、おとうさん、無我夢中で男を投げ飛ばしてた。でぇ~~。その後、おまわりさんが来て。」
芙美花、
「うんうんうん。そっか~~。ひったくり~~。警察かぁ~~。」
耀司、
「とにかく。このまま睦美さん、ひとりだと怖いからさぁ。おとうさん、睦美さんの家まで送ってく。」
すぐさま芙美花、
「あぁ~~。うんうんうん。分かった~~。私、勉強してるから~~。」
耀司、
「あいあ~~い。」
けれども、
「…ってか、おま、寝ろよ。」
いきなり、
「寝れる訳ないでしょ。ひったくり、警察なんて言われて~~。」
瞬間、耀司、両目をキョロキョロと。そして、
「あ、そっか。分かった。うん。じゃ。」
芙美花も、
「う~~ん。気を付けて~~。」
そして、通話は切れる。スマホをクッションに。
「ふぅ~~~。」
そして。
「…ってか、ひったくり~~???」
いきなり唇をビロンと。小刻みに顔を震わせて、
「おおぅ。ブルル。」
2秒後、眉間に皺を。
「…ってか、背負い投げ…???」
いきなり芙美花、ニコニコと。
「かかかかか。おとうさん。ししししし。黒帯~~。」
そして、ソファに座りながらも、両腕をぐるりと。
「てや~~~。」
耀司と睦美、既に駅の構内。
耀司、ポツリと。
「いるもんだねぇ~~。ひったくり~~。」
睦美も、
「ですよね~~。」
階段を上りながら、
「…ってか、いきなり後ろからだもんな~~。びっくりしたよ~~。」
睦美、頷きながら、
「私もです。」
耀司、その声に睦美を見て、
「だよな~~~。」
そう言った瞬間。耀司、自身で…。階段を上り切り、
「うん…???」
そして、睦美にペコリと。
睦美、そんな耀司を見て、瞬きしながら、
「…???」
耀司、思わず頭に手を。
「かかかかか。タメ口。」
瞬間、睦美、耀司を見て、
「タメ口…???」
耀司、照れながらもペコリとして、
「汐梨や芙美花に話している感じで…、言ってしまった。はは。」
睦美、またまた瞬きしながら、
「え…???…汐梨や芙美花に話している感じで…???」
瞬間、階段の途中で言われた耀司からの言葉を思い出して、目を右に左に。
「…だよな~~。」
睦美、思わず、
「あ。」
そして、耀司を見て、
「はははは。」
耀司、すぐさま睦美を見て、
「え…???」
睦美、耀司に、
「あ、いえ。」
ニッコリ。
「…でも。…嬉しいです。」
思わず耀司、
「えへ…???」
睦美、耀司に、
「耀司さんから。…そんな風に言ってもらえるなんて…。」
微笑ましく、
「嬉しいです。」
いきなり耀司、睦美を見て、
「あは。…はははははは。」
すぐさま電車は来る。そして…、ドアが開いて。
耀司、
「行きましょうか。」
睦美、コクリと。
「えぇ。」
晄史と誓、
「え―――――――っ!!!ひったくり~~~???」
睦美、コクリと。
「うん。」
晄史、
「えへ~~~???」
睦美、パンツの膝を。
「…で、これ。」
擦り切れているパンツの膝の部分に手を。膝の下辺りが僅かに擦り傷。
誓、
「大丈夫なの~~、お義姉さん。」
睦美、
「ちょっと、擦り剝いただけって…。」
晄史、顔をグシャリとさせて、
「え~~~~???」
睦美、
「でも。耀司さん。しっかりとその男、投げ飛ばしてくれた。」
晄史と誓、眉間に皺を。そして、顔を見合わせて、
「投げ飛ばしてくれた。」
いきなり晄史と誓、目を見開いて、
「黒帯~~~。」
睦美、コクリと。
「うん。…背負い投げ。」
晄史、目を真ん丸にして、
「かぁ~~~。」
誓も、
「えへ~~~~???」
晄史、
「いやいやいや。」
誓も両眉を上下に、
「うんうんうん。さっすが~~~。柔道、黒帯~~~。」
睦美、
「倒れた瞬間に見たけど。…凄かった。男が、宙に浮いて、体が、地面に、バン。」
晄史、
「はははは。高井戸さん、凄ぇ~~~。」
睦美、
「…で。そこまで送ってくれた。」
誓、目をパチクリと。
「送ってくれたって。高井戸さん。…え…???…帰ったの…???」
晄史、いきなり、
「お茶でも…。外。寒いのに。」
すぐさま睦美、
「芙美花さん。家で待ってるから。」
晄史、誓、
「あ、あ~~~。」

ママでいい…。 vol,298. 睦美、「でも。耀司さん。しっかりとその男、投げ飛ばしてくれた。」
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