孔太、
「アドリブが出来るって。凄ぇ。」
彩未、孔太に、
「何…???…その…、アドリブが出来るって凄ぇって。」
そんな彩未に、
「ほら。ジャズやフィージョンなんかのコンサートで、曲はちゃんと演奏してんだけど~~。途中や、曲が終わった後で、その曲以外に関係ない自由な演奏する事あんだよ。ピアノでも、ギターでも、ベースでも、ドラムでも。自由に演奏する。それにそれぞれの楽器がそのまま着いて行くっての。それがアドリブ。つまりは即興の曲。」
孔太、眞鍋を見て、
「眞鍋さん、それ、出来るんだ~~。」
生野、孔太を見て、
「孔太君、さすが。バンドをやっているだけで、音楽、知ってますね~~。」
そんな生野に万智も、
「事務局長、どういう事ですか…???」
ピアノのところでは眞鍋と望月。それに珠里と有紀、奈織が賑やかに。
生野、彩未と万智に。
「普通なら、音楽と言うものは、基本的には楽譜を見て、その楽譜通りに曲を演奏する。または、楽譜はあるんだけど、全て暗記しての演奏となる。けれども、アドリブとは、その楽譜に関係なく自分の好きなように演奏する事なんです。但し。これは、コードワークがしっかりしてないと中々出来ない演奏方法なんです。」
彩未も万智も、生野の話しを聞きながらも眉間に皺を。そして口を尖らせて、
「ん~~。良く分かんないけど~~。」
生野、ニッコリと。
「つまりは。さっき、望月さんも言った通りに。望月さん自身が曲を作って、その曲を演奏した。それまでは分かりますよね。」
彩未も万智もコクリと。
「うん。」
「けれども、その、望月さんの作曲した曲を眞鍋さんは知らない。聞いたこともない。けれども、その、聞いた事のない曲にピアノで望月さんの曲にまるでその曲に着いて行くようにアンサンブルにしたって事です。」
彩未、
「アンサンブルって…???」
「つまりは。聞いたことのない曲でも、ひとつの曲として完成させたって事です。その証拠に、鵜杉さんも、元嶺さんも、今まで聴いていて、全く違和感なく聞こえたでしょ。」
彩未も万智も、
「うんうんうん。気持ちいい程~~。」
生野、
「つまりは眞鍋さん、望月さんの作曲した、眞鍋さん自身が初めて聴く曲でも、ピアノでひとつの曲として演奏したという事です。」
孔太、
「眞鍋さん、望月さんが作曲した曲だぜ。一度も聞いたことない曲にピアノで着いて行く。凄ぇよ。」
彩未、顔を傾げて、
「そんなに凄い事…???」
孔太、可笑しがるように、
「当たり前だろ。…例えば、彩未。おま。おまえが、何年もピアノを弾いている。まっ、ピアノ以外でもいいけど。」
彩未、孔太にコクリと。
「うん。」
「でも、それは~~、楽譜を見て弾いて、それを暗記しているから。…なら、弾けるだろ。」
万智も、
「うんうんうん。弾ける。と、思う。」
孔太、
「けど。…それに、プラスして~~。眞鍋さんの場合は。一度も聞いたことのない曲に~~、自分でその曲に合わせてピアノで演奏に着いて行った。彩未、おまえ、何年もピアノ弾いていたとして、一度も聞いた事ない曲に、ピアノで合わせられる…???」
そこまで聞いて彩未、目を真ん丸にして顔を振りながら、そして右手を振って、
「無理無理無理。出来る訳ないじゃん、そんな事~~。全然知らない曲だよ~~。出来ない、出来ない。」
孔太、口を大きく、
「だから~~。それを眞鍋さんは出来るっての。」
ここで初めて彩未も万智も、
「うっそ~~~~。」
眞鍋を見て、ふたりとも顔を見合わせて、
「凄っごぉ~~~。」
生野、ニコニコと、
「ははははは。ようやく分かりましたか。」
彩未、万智、共に眞鍋と望月のところに。
生野、
「いやいやいや。眞鍋さんの凄さ。とにかくです。…それに、望月さんも。…何と、作曲までやっていたとは。」
孔太、
「眞鍋さん、プロっすよね~~。アレンジまで。しかも、アドリブまで。」
そして生野に、
「事務局長、どうしてあんな事、出来んすかね。」
生野、聞きながらも首を振り、
「さぁ~~~。私も分かりません。…ただ、眞鍋さんが元ピアニストで、小白川先生がとにかく推しに推している人物であるとしか。」
孔太、いきなり体を後ろに寄せるように、
「え…???…あの、小白川先生が…???…うそでしょ。」
生野、
「あぁ~~。業務係の孔太君は、実際に小白川先生との接触って。」
孔太、顔を小刻みに、そして右手も振りながらにして、
「いえいえいえ。ないないない。ないです。」
生野、ニコニコと、
「…ですよね~~。うんうんうん。」
孔太、生野を見ながら、
「眞鍋さんって、小白川先生が推すほどに…???」
生野、コクリと。
「えぇ。…だから、小白川先生、私の後任には、眞鍋さんを。って、推したんですよ。」
孔太、話を聞いて、
「へぇ~~~。知らなかった~~。俺なんて、小白川先生が辞めて。…で、眞鍋さんがピアノ講師にって。それだけでも、え…???…出来んのって…。」
生野、笑顔で、
「ははははは。」

ママでいい…。 vol,267. 「まるでその曲に着いて行くようにアンサンブルにしたって事です。」
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